日本は低所得国を支援し、国際社会での地位を高めていくべき
2020年9月27日付の読売新聞の社説は「菅政権の外交 国際協調へ主導的役割果たせ」との見出しを掲げ、国連総会でのビデオ演説や中国の習近平国家主席らとの電話による首脳会談を進める菅義偉首相の外交を論じている。
「国際秩序の安定に向けて、日本の外交力がこれまで以上に試されよう。菅首相は重責を担う覚悟を持ち、様々な課題に取り組まねばならない」と書き出した後、読売社説は、収録ビデオを配信する形で実施された国連総会での菅首相の一般討論演説を取り上げる。
「新型コロナウイルスの世界的な流行を踏まえ、東南アジアやアフリカの途上国などにもワクチンや治療薬が行き渡るよう、支援する方針を表明した。首相は『各国と協調しながら、国際的な取り組みを主導していく』と述べた」
「感染症の収束に向けて、日本の保健や医療の仕組みを低所得の国々に広げていく意義は大きい。現地の医療機関の整備や、人材育成を進めることが重要である」
発展途上にある貧困国への援助は、先進国日本の義務である。WHO(世界保健機関)もそうした国際協力を強く呼び掛けている。いまこそ日本は、医学・医療や公衆衛生の分野で培った実力を基に低所得国を支援し、国際社会での地位を高めていくべきだ。
ロシアも北朝鮮も日本の力だけでは思うようには動かせない
さらに読売社説は書く。
「前政権から積み残された重い課題は、北朝鮮による拉致問題とロシアとの北方領土交渉だ」
「首相は演説で、拉致解決に向けた協力を各国に呼びかけるとともに、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と『条件を付けずに会う用意がある』と述べた」
「無条件での会談は、安倍氏も提案していたが、北朝鮮は反応しなかった。4島一括返還から2島返還に舵を切ったロシアとの領土交渉も、行き詰まっている」
ロシアのプーチン大統領も北朝鮮の金正恩委員長も一筋縄ではいかない。日本の力だけでは思うようには動かせないだろう。ここは前述した韓国問題と同様、同盟を結ぶアメリカと協力して問題を解決していくべきである。
読売社説も「前政権が掲げた『戦後外交の総決算』を首相が踏襲するのなら、懸案に関する新たな戦略が求められよう。周到に準備し、着実な進展を目指してもらいたい」と主張する。その通りだ。