先進国の中でもっとも政治家が高齢化している日本

次に、本題に入り、このように、なかなか若返りが進まない政治家の平均年齢の状況を海外と比較するとともに、政治家の高齢化が進むと何か不都合なことが生じるか、生じているかについての見通しをこうした国際比較から探ってみよう。

国際比較データとして、議員の平均年齢を比較した数字は得られない。しかし、閣僚(大臣)の平均年齢についてのデータはOECDの報告書が公開しているのでそれを見てみよう(図表2)。

民主主義体制が定着しているOECD諸国では、政権トップの大統領・首相は選挙で選ばれた政治家が就くし、閣僚についても政治家が指名されることが多い。すなわち閣僚の平均年齢は政治家、特に有力政治家の平均年齢を反映していると言えるのである。

2018年の時点で、閣僚の平均年齢はOECD諸国平均で53.1歳のところ、日本の場合は62.4歳とそれより10歳近く高く、しかも35カ国中最も高くなっている。

念のため、2018年以降の日本の閣僚の平均年齢を確認しておこう。昨年9月に発足した菅義偉内閣の平均年齢は60.4歳だった。また、先月に発足したばかりの岸田文雄内閣の平均年齢は61.8歳である。日本の閣僚がOECD最高齢という状況はほぼ今でも成り立っていると言えよう。

図の中で、日本に次いで高いのは、韓国、米国、ギリシャ、ドイツ、チリの順である。

米国が平均年齢61.3歳で第3位と高いのは案外と感じられるだろう。ドイツのほか、フランス、イタリアといった主要国も50代半ばとけっこう高くなっている。

欧米主要国で閣僚の年齢が高いのは、政治制度にそれなりの歴史がある国では、政治家としてのそれなりのキャリア、年功序列が国の要職に就くためには必要だからとも言えよう。

他方、若くして閣僚になる国としては、平均年齢の若い方から、アイスランド、ノルウェー、エストニア、デンマーク、フィンランドと北欧諸国が多くなっている。これらの国では平均して45~47歳で閣僚を務めているのである。

欧米主要国の中では英国が51.1歳と比較的若いのが目立っている。