嫁姑の「適正の距離感」は夫(息子)によってつくられる

私は、息子を「世界一」だと思っているが、さすがに、他の人がそう思っているとは思っていない。しかし、およめちゃんはそう思ってくれる、唯一の同志だ。「お母さん、ゆうさんのハイネックセーター姿、かっこいいよ、見てみて」なんて言ってくれて、二人で「ほんと、カッコイイ」と、息子に見惚れる。

息子は、母親と妻に、「カッコイイ」の「カワイイ」のと、やいのやいの言われる暮らしで難儀だろうけど、生まれつきそうなので(黒川の両親にも、私の両親にも唯一の孫だったので、二人の祖母と母親からやいのやいの言われて育った)、けっこう平常心でやりすごしてくれる。

黒川伊保子『母のトリセツ』(扶桑社新書)

そんなわけで、娘のかわいさと、嫁の同志感が一気にやってきて、私は夢中になっちゃったのである。

そこへ、息子の釘が刺さった。

「あいちゃんはね、母に誘われると断れないんだよ。で、ちょっと無理して、それが後でストレスになっちゃう。楽しいこととはいえ、あまり誘わないで。彼女が自発的に行きたいと言ったときだけにしてあげて」
「あいちゃんはね、自分のペースでやりたいんだよ。失敗したって、それも楽しいわけ。言いたいことがあるだろうけど、口を出さないで、見守ってあげてね」

言ってくれて、本当に良かった。

それを言ってくれなかったら、「適正の距離感」がつかめなかった。

およめちゃんは、私の秘書もしてくれているので、私たちは、公私ともにスケジュールを知り尽くしている。「仕事が忙しくて」という言い訳もできないし、「気が乗らないとき」に逃げ場がなかったのである。追い詰めちゃって、かわいそうなことをした。

彼女と私は、ダンスに対するスタンスが少し違う。彼女は華やかな雰囲気を愛し、私はがんがん踊りたい。今では、私のダンスライフと、およめちゃんのダンスライフは6割がた別物で、およめちゃんの親友とのほうが、一緒にパーティに行く回数が多い。「娘さん?」「およめさん?」と聞かれて、「いえ、およめちゃんの高校時代の同級生」と答えると、たいていの人はびっくりする(微笑)。

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