主要メディアが一斉に番組批判
放送直後から、主要メディアは一斉に番組批判の論陣を張った。
「『偏見』番組、放送の責任わきまえよ」(朝日新聞)、「MX『偏見報道』に波紋(毎日新聞)、「『沖縄ヘイト』まん延」(東京新聞)、「民主主義の根幹を揺るがす危険な動き」(沖縄タイムス)、「沖縄に対する許し難い誹謗中傷」(琉球新報)などなど。
保守派論客が集結する「放送法遵守を求める視聴者の会」でさえ、放送法に違反している恐れがあると指摘、「この番組の編集は拙速であったと言わざるをえません」と批判した。
こうした批判に対し、MXテレビは「沖縄リポートは、様々なメディアの沖縄基地問題をめぐる議論の一環として放送致しました。今後とも、様々な立場の方のご意見を公平・公正にとりあげてまいります」という真意不明のコメントを出した。
一方、番組を制作したDHCテレビジョンは、「数々の犯罪や不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の意見を聞く必要はない」と断言。そのうえで「言論活動を一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧である」と開き直った。
こうした中、MXの大株主で司会の長谷川氏が所属する東京新聞(中日新聞東京本社)が、論説主幹名で「『ニュース女子』問題 深く反省」と題する謝罪文を紙面に掲載、「事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものではありません」として、長谷川氏を論説副主幹から一介の論説委員に降格させた。
「持ち込み番組」も放送局が放送責任を負う
一連の経緯を重大視したBPOは、「ニュース女子」を議題として取り上げたが、それはローカル民放局の一番組の問題にとどまらず、放送界全体の問題として受け止めたことを意味する。
3つある委員会のうち、放送倫理検証委員会が17年12月、「複数の放送倫理上の問題が含まれた番組を、適正な考査を行うことなく放送した点において、MXには重大な放送倫理違反があった」とする「意見」をまとめた。
さらに、18年3月には、放送人権委員会が、「『持ち込み番組』であっても放送局が放送責任を負うのは当然」としたうえで、番組全体として真実性の立証がされておらず、辛共同代表に対する「名誉棄損の人権侵害が成立する」との判断を示し、再発防止を求める「勧告」を出した。
MXは、放送局として、また報道機関として、鉄槌を下されたといえる。