夫婦が亀裂を深めた「2つの理由」
夫婦関係に亀裂を生むほど「妻の役割が増加した」のはなぜなのでしょうか。理由は2つあります。
【理由1】「担当外は意識外」である夫たち
1つは夫の「無自覚な主体性のなさ」です。
生活の中で何か気づくことがあっても、自らは動かず、妻にそれとなく伝えるだけという夫がたくさんいます。「歯磨き粉がもうなくなりそうだよ」「最近、タオルから生乾きのニオイがするよね」「お風呂にカビ生えてきたなあ」……妻になにげなく告げ、終了。
妻は「それって、私にやれってこと?」「気がついたなら自分でやってよ!」とモヤモヤ、イライラを募らせますが、夫は気づきません。というのも、妻を責めたいわけでも、やってほしいわけでもなく、「自分は担当外」と思っているからなのです。
共働き夫婦の場合、家庭内で家事の分担を決めているケースは多いのですが、「決められたことしかしない」「言われたことしかやらない」と不満を募らせる妻が大勢います。その原因も、夫の「担当外は意識外」にあります。夫たちは、いわゆる「目に見えない家事」「名もなき家事」に意識が向かないことが多いのです。
【理由2】「私がやらなくてはいけない」で自滅する妻たち
夫婦の亀裂が深まるもう1つの理由は、妻たちの「私がやらなくてはいけない」という思い込みです。
昭和の亭主関白とは異なり、いまの子育て世代の夫で、妻に家事や育児を高圧的に強いるタイプは希少でしょう。
ところが妻たちは、「やれ」とは言われなくても、仕事で疲れていても、「手を抜かずにすべてをやらなくてはいけない」という思い込みに追い立てられています。やがて限界に達し、「私だけがこんなにやっているのに……!」と、不満を爆発させて夫を責める事態に。
夫は、何もないところから突然パンチが飛んできたかのような理不尽さを感じ、妻の言葉をネガティブにしか受け取れず、夫婦関係が悪化していく……という構図が透けて見えます。
「夫婦会議」をしよう
夫としても、妻に対し「もっと家事・育児で苦労をしろ」と言いたいわけではありません。互いにつらい思いをしながら家事や育児をしているのでは、家庭は幸せとはいえません。共働き夫婦に本当に必要なのは、夫婦がともに家事の負担を軽減することです。
事実、先の内閣府の調査では、「夫の役割が増加した」群で「夫婦の関係がよくなった」「ややよくなった」との回答が約40%を占めています。疲弊する妻の負担を減らすと同時に、夫も納得のうえで役割を増やすことができた家庭では、むしろ、コロナ禍で夫婦関係がよくなっているのです。
そのために私が常々ご夫婦におすすめしているのが、理想とする家事と育児についての「夫婦会議」です。