家事・育児のワンオペを強いられる女性は多い。放棄する夫に問題があるのは明らかだが、元外資系メーカー管理職で2児を育てながら文筆業やヨガスタジオ経営などをしている尾石晴さんは「家事・育児の内容にこだわりすぎず、マニュアル化して取り組みやすくするとともに、夫の出来に完璧を求めず60点程度でも許す気持ちが大事」という――。

※本稿は、尾石晴『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

ストレスのたまった母親と赤ちゃん
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ワーママ必須スキル「属人化防止術」を使いこなす

育児は、3種の労働を一度にこなす重労働

「駅につき深呼吸してママになる」(「第1回 オリックス 働くパパママ川柳」入賞作品)。ケアする側のコンディション調整や、帰宅して「これから」を想像させる一句ですよね。

正直、育児は体力勝負。私は本音では「仕事より疲れる」と思っています(小声)。

では、なぜ疲れるのでしょうか?

育児を労働の種類で分類してみます。

労働には「頭脳労働」「肉体労働」「感情労働」があります。育児を保育士業務と見なせば、「感情労働」になります。頭脳労働や肉体労働はわかるけれど、「感情労働って何?」と思いますよね。

感情労働とは、「相手の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働」(社会学者A・R・ホックシールド)とされています。保育士以外にも、看護師や介護従事者なども含まれます。

育児はまさにこれです。「感情労働は向き不向きがある」と言われており、向かない場合は、職業を変えたほうがいいとまで言われています(自分の感情を抑圧しすぎると、うつ病などの発症のリスクがあるため)。

子どもを持った親たちは皆、この感情労働に従事するのと同じ状態になります。仕事と違って「今日はお休みします」なんてわけにいきません。さらに、寝不足でどんなに体がきつくても、子どもをお風呂に入れたり寝かしつけなども待っていますし(肉体労働)、子どもの成長のために細かな食事づくりや、成長でのこだわり(頭脳労働)把握や対応も同時に行なっています。