秋元議員は「懲役4年の実刑」でも次期衆院選に出馬か
9月7日には統合型リゾート(IR)事業をめぐって収賄罪などに問われた秋元司・衆院議員が懲役4年の実刑判決を東京地裁に言い渡されたが、即日控訴した。議員辞職もしないうえに次の衆院選への出馬を表明している。開いた口がふさがらない。
総裁選の候補者4人には、朝日社説が指摘する負の遺産を含めて反省するとともに、その原因を検証してほしい。それができなければ、自民党は国民に見放され、腐敗していくだろう。
朝日社説は「領袖が立候補した岸田派以外の6派閥は事実上の自主投票」「まさに『本命』なき選挙戦である」とも書き、派閥の締め付けや縛りの存在については触れていない。総裁選の表面的な話ばかりではなく、ベテラン記者の論説委員らしい突っ込んだ指摘が読みたい。それができないから、新聞社説から読者が離れていくのだろう。
しっかりとした「国家観」と明確な「説明能力」が首相の条件
9月18日付の読売新聞の社説は「長引くコロナ禍で日本の社会や経済には閉塞感が漂い、米中対立で国際情勢は激変している」と指摘し、こう訴える。
「新たな指導者には、確固たる国家観に基づく政策と、国民の理解を得るための説明能力が不可欠だ。各候補は所信を明快に語り、選ぶ側となる国会議員や党員はそれを十分に見定めてほしい」
見出しも「自民総裁選告示 国家観に基づき政策を論じよ」だ。やはり首相にとってしっかりとした「国家観」と明確な「説明能力」は必要不可欠である。
朝日社説と同様に読売社説も「党内7派閥のうち、岸田派を除く6派閥が支持候補の一本化を見送るという異例の展開である」と指摘し、こう解説する。
「かつて派閥は総裁選を結束して戦い、資金とポストの配分をテコに厳しく引き締めたが、今回は有力な『勝ち馬』の見極めが難しいという事情があるのだろう」
さらには「衆院小選挙区を中心とする選挙制度が定着し、党首の人気に頼る傾向が強まっていることも影響している。派閥の締め付けが弱まり、政策論争がしやすくなったことは評価できる。議員一人一人の見識が一段と問われよう」とも書く。
本当に派閥の締め付けはないのか。前述したように小泉氏が「議員1人1人に強烈な働きかけがある」と嘆いたことをこの読売社説を書いた論説委員が知らないわけがない、と思う。
最後に読売社説はこう主張する。
「派閥横断の若手議員らは、政治プロセスの透明化など党改革の断行を主張している。『自民1強』のおごりや国民への説明不足が指摘されている。党改革をどう進めるかも重要な論点である」
これまで安倍・菅政権を擁護することの多かった読売社説としては、自民党の改革を前向きに捉えている。権力の問題まで扱う新聞社説にとって擁護よりも批判する姿勢が欠かせない。