1学年当たり120万人の男性に“結婚相手が存在しない”

ヒトの出生時の性比は104〜107とされる。2020年の人口センサスでは総人口の性比を105.07としているが、一人っ子政策を実施していた時代に生まれた世代だけを取り出せばその差は歴然だ。人口センサスによれば、2020年の出生性比は111.3である。2010年と比べれば6.8下がったが、依然として105前後という正常の水準を大きく上回った。

2010年の人口センサスでは15歳以下の性比は117であり、この年齢層は男性のほうが1929万人も多い。単純に計算するならば、1学年当たり120万人ほどの男性に“結婚相手が存在しない”こととなる。

結婚する年齢はさまざまであり、夫婦の年齢差もある。さらに言えば、一人っ子政策に違反して生まれた女児が人口統計に計上されていない可能性もあるので一概には言えないが、現在の20〜40代は男性のほうが1700万人ほど多いとの見方もある。ここまで男女の人口に差がつくと、男性にとっては結婚相手が極端に不足するという事態が起きる。

「家父長制」の価値観が生み出したいびつな性比

河合雅司『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』(朝日新書)

いびつな性比が生じた理由としては、社会保障制度が十分に整備されていない中、とりわけ地方で男子を欲しがる「家父長制」の価値観が根強く残っていることがある。男の子を「老後の生活保証」と考える人が少なくないのだ。

人工妊娠中絶などにより女児が人為的に命を絶たれるとか、次に男子が生まれることを期待して女子を“捨てる”といった非人道的行為を生むことになったのである。こうした背景もあって、多くの農村地域では1984年以降、第一子が女児だった場合にのみ数年後にもう1人産むことを認める「1.5人政策」が採られた。

こうしたさまざまな要因によって婚姻数の減少が続いているが、それはデータを見ても明らかだ。中国民政省によれば、2020年の結婚届出数は前年比12%減の813万件である。7年連続での減少だ。

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