二階氏には金丸信氏と同じ「副総裁」を用意か

菅氏は、幹事長には若手や女性の「見栄えのいい」議員を大抜擢する考えとも言われる。そうすれば低迷する内閣支持は下げ止まるかもしれない。岸田氏になびきつつあった中堅・若手議員の雪崩現象を食い止める効果も期待できる。

二階氏は党副総裁などに起用して一定の配慮を示すとの見方もある。副総裁というと「棚上げポスト」の印象があるが、二階氏の政治の師のひとりでもある金丸信氏は、党副総裁として権勢を振るった。二階氏にとって、決して悪い響きのポストではない。こちらも一石三鳥の効果が期待できる。

31日、都内で行われた自民党と公明党の幹事長、国対委員長会談では、途中で記念撮影を行った。二階氏、森山裕国対委員長ら自民党側出席者は「今日が最後」ということを覚悟し、納得していたのだろう。

究極のサプライズ「総裁選先送り」は一夜で自爆、撤回

最大のサプライズが31日夜、駆け巡った。「衆院を電撃解散して、自民党総裁選を飛ばす」という話だ。菅氏はもともとも9月上旬に衆院を解散し、党総裁選を衆院選後に後回しにすることを念頭に置いてきた。衆院選で勝てば総裁選は無投票再選となるという計算もあった。しかし、内閣支持の低迷で党内に総裁選を行うべきだという意見が高まり、この構想は消えた、はずだった。

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8月31日夜、菅氏サイドや二階氏側から「菅首相は、衆院を解散する意向で、総裁選は先送りする考えだ」という情報が流され、毎日新聞が電子版で速報すると、読売、朝日、日経、産経の各紙も翌9月1日の朝刊で「首相、衆院解散意向 総裁選先送り」などと一斉に報じた。

しかし、この策は評判が悪かった。当然だ。衆院解散は首相の専権事項ではあるが、総裁選日程は、党が正式に決めたもの。それを特段の理由もないのに飛ばしてしまうという発想は、独断専行と言うしかない。「総裁選で負けそうだから、先送りした」と非難されても仕方がない。