「小池さんはジャンヌ・ダルクみたいでカッコいい」
「実を言えば、いまなお創価学会のなかで、小池人気はそこそこの熱を持っている」
そう証言するのは、東京在住のある古参学会員だ。
「特に旧婦人部(創価学会婦人部は今年5月、「女性部」に改組)のオバチャンたちの間では、今なお『小池さんはジャンヌ・ダルクみたいでカッコいい』といった評価さえ存在する」(同前)
小池都知事に対する批判勢力がよく口にするロジックに、「小池都政はポピュリズム的だ」というものがある。しかしそれゆえ、ワイドショーの主要視聴者であるところの主婦層などの間では、小池人気は一貫して高い。
創価学会は「民衆の城」を自称し、池田大作名誉会長には「庶民の王者」なる呼び名もある。つまり客観的事実として、創価学会はインテリや富裕層ではない人々の間に、根を張ってきた宗教団体なのだ。
ただそれゆえに、彼ら民衆の城は「小池流ポピュリズムに、いまなお巧みにからめとられてしまっていないか」(同前)との見方が存在する。
無論そうした事情をも超えて、強力な統制で個々の会員たちを束ね、巨大な宗教票にまとめ上げていくのが、本来の創価学会の真骨頂である。しかし近年の創価学会には、そうした宗教パワーの低下、欠如が散見されるのも事実なのだ。
じわじわと進む「宗教パワーの減衰」
例えば2018年の沖縄県知事選挙。
在日米軍・普天間飛行場の返還計画のあり方や、辺野古基地新設の是非を重要なテーマとして争われた選挙だが、選挙後の各種調査データから、沖縄の公明票の3割近くが、公明が推薦していた自民系候補に投じられず、当選した玉城デニー氏に流れたことが明らかになっている。
また20年に大阪市で行われた、大阪都構想の是非を問う住民投票でも、公明は維新支持、つまり都構想賛成の意思を明確に表明していたにもかかわらず、公明票は賛成・反対でほぼ五分五分に割れ、都構想は否決されている。
このように近年の公明票、つまり創価学会員たちの意思は、しばしば「本部の宗教的統制力」を超えて、「自分たちの内側にある素朴な庶民としての感情」に基づき、独自の行動をとるパターンが散見されるのである。
「ちょっと時間をかけて分析しないといけないが、今回の都議選でも学会員の票が自民候補への協力に向かわず、小池支持の観点から都ファに流れたような傾向があったのなら、よく組織というものを見直さなければならないだろう」(同前)
公明票の動きにこうした変化の傾向が本当に表れているのであれば、その原因のひとつは確実に、近年の理念なき公明党の政界遊泳に帰せられるべきだろう。しかし、そうした状況を生んでいるものとしてもうひとつ注目しなければならないのが、先にも述べた創価学会の「宗教パワー」の減衰である。