12年間で200万票以上も得票数が減少

周知の通り、創価学会のカリスマ・池田大作名誉会長は、もう10年近く公の場に姿を現しておらず、その肉声も発表されていない。

今年93歳の池田氏の健康状態が現在どのようなものなのかに関して、ここで考察することは避ける。しかし、創価学会とは「その宗教指導者が10年近くにわたって具体的な指導を行っていない宗教団体」という、かなり特異な組織になってしまっていることは事実なのだ。これで宗教的な統制力を発揮しろというほうが無理な話ではあろう。

宗教政党とは、その母体である宗教団体の理念を現実社会で実現させるために活動する政治団体のはずである。しかし創価学会の場合、その宗教的理念が何であるのかが、近年あまり熱心に追究されなくなったという不満が、内部からも多く上がっている。

現在の創価学会、公明党を支えているのは、池田名誉会長と実際に触れあったことのある高齢層の会員である。彼らが自分たちの子や孫を一生懸命活動に駆り立てることによって、何とか創価学会は一定の形を保っているとも言えるのが実際のところだ。

つまり、創価学会はいま長期的な低落傾向に落ち込んでおり、その裏付けとして、国政選挙で全国から集める比例票が減り続けているという事実がある。

例えば公明党がその歴史の中で最も大量の比例票を集めたのは、2005年の衆議院議員選挙のときで、その数実に898万7620票。それが直近の衆院選である17年では、697万7712票、実に12年間で約200万の公明票がどこかへ消えていった。19年の参院選では653万票とさらに票数を減らしている。

出典=総務省「衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果」

この焦りから、公明党は各種の選挙のたびに何としても目の前の議席を死守し、既得権益にしがみつこうとする姿勢が強くなっており、それが誰の目にもはっきりと見える形で表れたのが、大阪と東京における、維新と小池百合子氏への迷走した対応だったと考えられる。

創価学会、公明党の失策は大多数の国民に影響を与えている

公明党は現実にさまざまな議会に議席を有している関係上、否応なく多くの日本国民の生活に影響を与える。それが大阪で2度に及んだ都構想に関する住民投票であり、またどの党もがイニシアチブを握れない形で終わった今回の都議選である。

創価学会、公明党が、自らの失策で崩壊に向かうのは自己責任である。そして、大多数の国民にとり、宗教団体としての創価学会が今後どうなるかといったことは、本来、何の関係もない。しかし、現実には、公明党の迷走という形で、大多数の国民生活に深刻な影響を与えつつある。

カリスマなき日本最大の新宗教団体の衰微は、今後の日本をどう変えてしまうのか。まずは次の総選挙に注目が集まっている。

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