日本におけるグーグルペイも同様で、登録可能なカードや決済手段が限られており、「FeliCaチップを使った『おサイフケータイ』に依存する部分が大きい」(メガバンク幹部)とされる。

一方、プリンの場合はセブン銀行のATM経由でウォレットへのチャージや現金の引き出しが可能だ。提携する銀行はメガバンク3行を含め50行を超える。

グーグルはプリン買収を機に、これまでのサービス水準をブレークスルーし、より利用者ニーズに合致したサービス機能を一挙に手にすることができるという構図だ。

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グーグルの次はアマゾンか

グーグルをはじめGAFAと呼ばれる巨大プラットフォーマーは、保有する膨大な顧客情報を生かし、金融事業に乗り出そうとしている。

金融は隠れた成長産業だ。例えば、ソニーを見るとそれが分かる。

「ソニーグループの収益を下支えしているのはソニー銀行などの金融事業です。金融は安定的に収益を上げられる有望市場になっている」(大手証券幹部)というわけだ。

今回のグーグルによる日本の金融事業参入に続き、金融界が警戒するのはいまやEC(電子商取引=eコマース)の巨人として、世界の流通を席巻しつつある米アマゾン・ドット・コムが日本で銀行を設立できるかどうかだ。2018年には米銀大手のJPモルガン・チェースと組んで、若者層や銀行口座を持たない顧客を対象に米国内で金融サービスを提供することを検討していると報じられたことがある。

顧客がアマゾンのサイトで買い物をする際に、アマゾンブランドの銀行口座から直接、商品の代金を支払えるようにするほか、顧客が小切手を切ることができたり、ATMを利用できたりすることなどが検討されているという。即時決済機能を中心とする金融サービスをグループ内に取り込むことで、コスト削減と顧客サービスの向上を同時に実現しようという構想だ。

「アマゾン銀行」構想の伏線

実は、アマゾンのこの構想には伏線があった。アマゾンは昨年秋以降、こうしたECと金融サービスが融合する新たなビジネスモデルについて、米銀から広く提案を募ったのだ。

また、アマゾンの創業者であるジェフ・べゾス最高経営責任者(CEO、当時)の発案で、金融サービスのプロジェクトを社内で立ち上げるとともに、「Amazon Pay」を「Alexa(アレクサ)」の開発部門に組み入れる組織改正にも踏み込んでいる。