■じっくり取り組める時間を持てるのは低学年

では、子供の自己肯定感をどのように育てればいいのか。

富永さんは、低学年のうちから親が次の3つの力を意識して伸ばす工夫をするといいという。それは、①計算力アップ、②図形センス磨き、③没頭体験だ。3つに共通するのは、時間をかけてじっくり取り組む作業であること。

いずれも、コロナの感染対策に追われて忙しい学校ではなかなか育めない。

「1~3年生の学校の算数では、本来、足し算、引き算、九九などを教わります。いずれも“やり方”を教えてもらってから、しっかり理解して早く解けるようになるまでには時間がかかりますが、今の学校では繰り返し復習する時間が限られています。そこで、日々の宿題や夏休みの宿題として課され、家で“補習”することが必須になります。ここで基礎を叩きこんでおかないといけません。中学受験組の場合、4年生からそうした初歩のテコ入れをしようとしても、受験対策のカリキュラムに追われるため時間はあまり残されていません」

◆低学年でやるべき算数①「計算力アップ」

中でも重視すべきは、「計算ドリル」だ。何ケタもあるような計算でなくていい。1ケタの計算だ。侮るなかれ、算数全般において、この1ケタ計算こそが最重要なポイントだ。

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「複雑な分数や小数の四則計算も筆算も、答えを導きだす際に、1ケタの小さな計算を一つひとつ積み重ねていきます。繰り上がりや繰り下がり……ある部分の1ケタ計算が仮に6秒かかる子と1秒で解ける子とでは、回答までに5秒も差ができ、最終的な答えを出すまでにかなり大きな差になります。高学年になって慌てずにすむよう、低学年のうちに、1ケタの簡単な計算を一定量こなしておくべきです」