「どうしてそんなに気になるの?」と聞き返す

無神経な言動をする人たちは、相手の置かれた社会的立場や状況(役職、体職中、失業中、未婚や既婚など)に目をつけ、自分が正しいと思い込んでいる価値観を勝手に押しつけたりします。

例えば、独身の人には「結婚はまだなの?」、結婚しているカップルには「子供はまだなの?」、団塊世代の人には「お係さんはいつなの?」などとしつこく尋ねることがあります。

また、「コロナ禍で、お勤め先の飲食店は大丈夫なの? 潰れない?」といった失礼な聞き方をする人もいます。

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そういった人に遭遇したときは、「またその話ですか。なんだか、尋問されているみたいだな~」と、そんなときに呆れた様子で呟くように伝えてみるのも効果的です。

「勤務先が潰れるのを待っているんですか? なんて冗談ですけど、なるようにしかならないので、見守ってください」など、一瞬相手がはっとするようなことをいってみてもいいかもしれません。

自分一人ではどうにもならない結婚や出産、孫の誕生のことなどを何度も質問したり、人前で軽々しく答えづらいことを聞いてくる人に対し、無理をして明るく装い、反応する必要はないはずです。

ときに、「どうしてそんなに気になるの?」と相手に質問を投げかけるのもおすすめです。

「あの人は、また無神経なことを聞いてくるのではないか」と事前にシミュレーションをしておくだけでも、落ち着いて対応できるようになるのです。

答えづらいと感じる質問をイメージしてみる

間題解決の研究を心理学史上初めて行ったアメリカの心理学者ソーンダイク(Thorndike)は、「練習の法則」として、「ある事態で同じ反応が何度も行われると、その反応は同じ事態に再び遭遇したときに行われやすくなる」と説明しています。

本書で述べているこの「シミュレーション」も、繰り返し行っていくうちに、より実際の事態への対処がうまくなっていくと考えられます。

そもそも、結婚や出産の考え方は人それぞれですし、したいと思っていても、人にはいえない悩みを抱えている人もいれば、社会的な結婚という制度に全く価値を見出していない人もいます。

それなのに「まだなの?」「いつなの?」などとしつこく聞くことは、多様性を考慮することのできない、もはや時代遅れな質問なのです。

社会的な枠に相手をはめようとする質問よりも、「外出自粛中の食事は、どうされていました?」「最近はリモートワークが多いのですか?」「嫁がれたお嬢さんは元気にされていますか?」など相手が答えやすい質問をしたほうが、会話は弾みます。

親しい間柄であれば、「最近、人間ドックに行かれましたか?」「白髪は染める派? 染めない派?」「ネットフリックスで号泣した韓国ドラマがあったんだけど、興味ある?」といった質問のほうが、ずっと会話が盛り上がるのではないでしょうか。

あなたが答えづらいと感じている質問を思い浮かべ、近々、会うかもしれない人をイメージしながら、早速、シミュレーションをしてみませんか。