株価は景気のバロメーターではない
とはいっても、やはり今回のコロナバブルには違和感があります。それは「実体経済との乖離」です。つまりコロナ禍で、ここまで実体経済が冷え込んでいるのに、本当に株価だけ上がり続けたりするものなのかという点です。これはどう考えればよいのでしょう。
これも結論から言うと、上がり続けても不思議はないと思います。なぜなら実体経済と株価は、ほとんど連動しないからです。これは、昔のバブル崩壊のデータを見ればわかります。かつて日本は、90年代初頭にバブルが崩壊し、日経平均株価が4万円手前から1万円を切るところまで下落したことがあります。でも驚くべきことに、その間GDPは、ほとんど変わっていませんでした。
結局、バブルを引き起こす主要因は、景気の動向よりも「カネ余り」や「投機に向いた商品の存在」なのです。ということは、たとえ景気がどん底であっても、世界に緩和マネーがあり余っているなら、そのマネーは株式市場などに向かうのです。
以前も指摘しましたが、株価は「景気の良し悪しを測るバロメーター」にできるものではありません。あくまでも、そのときどきのマネーの流量の中における、個々の企業の成績表です。そして今日は、全世界で「不況対策のコロナ緩和(つまり「不況なのにカネ余り」)」が進んでいるわけですから、その認識はさらに歪みます。
未来永劫続くバブルは存在しません。過去に起こった世界のバブルは、すべてはじけています。これから投資を考えておられる皆さんも、コロナ禍はいずれ収束し、そのときに緩和は必ず終わるということを、常に忘れないでください。