男性中心の働き方が女性管理職を少なくしている

『令和元年版 男女共同参画白書』によれば、ほかの西洋諸国では女性の就業者の割合が40%後半で大体35%前後の女性管理職がいるのに対し、日本では女性が就業者の40%以上になっているにもかかわらず、女性の管理職が約15%しかいません。

中村敏子『女性差別はどう作られてきたか』(集英社)

また、男性中心の働き方を前提とした長時間労働が、夫婦間の家事労働時間の不均等を生んでいます。他国と比較した時、日本の男性が家事や育児に費やす時間の短さと女性の長さは、顕著なものがあります。日本の男性の一日あたりの家事時間は約一時間半、女性は約7時間半なのに対し、西洋諸国では男性は3時間前後、女性は6時間前後です。

また2016年の調査では、男女とも、子どもができても仕事を続ける方がよいと考えている人が半数を超えているのに、保育への公的支出が少なく保育施設が少ないため、子どもを産んだ場合保育園探しに奔走することになります。男性の育児休業の取得率の低さも顕著です。また、女性に対する母役割の強調もあって、第一子が生まれた後、働いていた女性の半数近くが仕事をやめています。

「性別分業」による家父長制構造

このような「性別分業」の構造をはっきりと示しているのが、世界経済フォーラムが出している「ジェンダー・ギャップ指数」です。これは、経済・政治・教育・保健という4つの分野のいくつかの指標において男女の平等を指数化し、全体としてどれだけ男女の平等化が進んでいるかを世界諸国の中で位置づけるものです。2020年のレポートによれば、日本の総合順位は153カ国中121位でした。

日本は人間にとって基本的に必要な教育や保健に関しては男女の平等がほぼ達成されているのに、「性別分業」により女性が担当してこなかった経済や政治の分野では、平等化が進んでいないことがわかります。特に政治の分野での不平等は、驚くべきものでしょう。これは、政治における平等化を測る指標として、国会議員における女性の数や内閣における大臣の数、そして政治のトップに女性がなったことがあるか、などが使われているからです。この調査が行なわれた時点で衆議院議員の中に女性が占める割合は10%程度であり、女性大臣はひとりでした。