「こんなに困っていたなんて知らなかった」

2020年の初めには、パリ市とその近郊イル・ド・フランス県の31中高学校でも、無償配布機が設置され始めた。モー市のシャルル・ボードレール高校の校長クリストフ・ブテ氏は、フランスの日刊紙Libération(リベラシオン)紙のインタビューに答え、「当初は懐疑的で『こんなもの何の役に立つのか?』と思っていたが、300点あった生理用品はあっという間になくなり、必要性を実感した」と言う。また、保健室の看護師も、「私はこれまで、急に生理になったと駆け込んできた生徒たちに試供品の生理用品を配ってきたのですが、やっぱり『ください』と言えなかった生徒もいたんですね。こんなに生徒たちが困っていたなんて知らなかった」と話している。

今年2021年2月には、フランスで初めて、イル・ド・フランス県地方議会が、全ての中学・高校465校と大学で、生理用品を無償配布することを決めた。そして2月末、国も全国の大学に生理用品の無償配布機を据え付けることを発表した。

変わってきた若者たちの意識

全国で設置される生理用品の無償配布機の発案者で、生理用品メーカーMarguerite & Cieの創立者ガエル・ル・ノアンヌ氏(44歳)は言う。「これまで催してきた無償配布会は、若者たちと生理について話し合う良い機会だった。私が若かった頃に比べて、彼女たちはコンプレックスなしに自分の身体について話すことができるようになっており、生理の話を恥じるべきことだともタブーだとも考えていない」と話している。

同社にコンタクトしてくるのは多くの場合、学生たちで、「私の学校に無償配布機を設置するのにどれくらいの予算が必要ですか? 学校に掛け合いたい」と言ってくるそうだ。Marguerite & Cieのホームページには、学校の所在地、生徒数などを記入すると自動で見積もりが計算できるツールが用意されている。ちなみに配布機1つにつき300個の生理用品が入っており、年間120ユーロで配布機を貸し出し、詰め替えは1回122ユーロだ。