日本も改善はしているが、遅すぎる

このランキングについて、次のような良い質問を40代女性から頂きました。

「先生、私の周りでは私の若い頃よりジェンダーについて随分とよくなったなあと思うんですけど、それなのに日本のランキングが落ちちゃったと聞くんですが……」

確かに、同じ国の中でみればましになったのかもしれません。しかし、これは世界の基準から見た「完全平等」への到達度ですので、相対的な評価になります。日本以上に改善した国が多ければ順位は下がるのです。

例えば、あるメーカーの製品Aの改善点が1000個あったとします。そこで300個問題点を解消すれば、確かに前よりもましな製品Aにはなります。しかし、他の企業が同様の製品Bの問題点を500個改善してきたとすると、製品Aは製品改善を怠った、とみられるわけです。日本のGGIも2018年(GGIレポート2019)では149カ国中110位でしたが、2019年では153カ国中121位に下がっています。改善していないとは言わないが、世界のスピード感からみると遅々たる改善の歩みである、という評価です。

経済部門は下位4分の1

以上はGGIの総合得点による評価です。GGIはその内訳科目として政治、経済、教育、健康の4部門で構成されています。そこでこちらも「日本のランキングの上下にはどんな国が名を連ねているのか」という視点でみてみたいと思います。

まずは「経済」Economic Participation and Opportunity(経済への参加と参加機会)ですが、153カ国中115位です。日本より上位に75.2%の国が入っているため、下位4分の1にあるといえます(図表2)。

日本のランキングの上下を見ると、イタリア以外はアフリカ諸国もしくは中央アメリカ諸国となっており、経済先進国の国名は見えません。経済分野についてみても日本は「アフリカもしくは中央アメリカ諸国レベル」の評価であることが示されています。