「対応策を具体化し、日本との協議を始めるべきだ」と朝日社説

3月3日付の朝日新聞の社説は、その中盤でこう主張する。

「文氏はこれまで北朝鮮や中国への配慮から、日米韓の結束を強調することに慎重とみられてきた。それだけに今回、微妙に前向きな変化がうかがえる」
「その言葉を行動で示してほしい。文氏は直近の歴史問題への対応策を具体化し、速やかに日本との協議を始めるべきだ」

「変化がうかがえる」とは、3・1独立運動記念式典での文在寅氏の発言を指す。「行動」や「対応策の具体化」を韓国側に求めるのは日本の新聞社説として当然である。

朝日社説は「文氏の発言は、国内の対日政策批判をかわし、日韓関係改善を求める米新政権に応える構えを装うためだ、との冷めた見方もある。もしそうならば、根本的な解決は遠のくばかりだ」とも指摘するが、ここは「冷めた見方もある」「もしそうならば」は余計だ。ストレートに「米新政権に応える構えを装っている」と書くべきだ。この局面ではっきりとものを言えないところが、朝日社説の限界なのかもしれない。

「日本政府にも改めるべき点がある」とする朝日社説の論法

朝日社説は後半で「もちろん歴史問題では日本政府にも改めるべき点がある」と指摘し、お得意の喧嘩両成敗の論法を展開する。

「先週ジュネーブで開かれた国連人権理事会では、両国の間でひともめあった」
「韓国政府は日本を名指しせずに『普遍的な人権問題』として慰安婦問題に言及した。これに日本政府は、2015年の日韓政治合意に照らし、受け入れられないと反発した」
「確かに日韓合意では、双方が国連など国際社会で非難や批判をし合わないことを確認した。だが慰安婦問題を取り上げること自体を禁じたわけではない」

「日韓の合意で慰安婦問題への言及を禁じたわけではない」とは、よく分からない指摘である。「最終的かつ不可逆的解決」を日本と韓国で了解したのが、2015年の合意だ。合意した以上、国際会議などで取り上げないのがルールだ。

保守派の朴槿恵(パク・クネ)前政権での合意を反故にしたのが、進歩派の文在寅政権だ。文在寅政権は反保守の立場と公約を堅持し、日本との約束を破った。繰り返すが、間違っているのは韓国である。それを喧嘩両成敗の論法で日本にも非があると書くのは、納得できない。

最後に朝日社説は「歴史の事実を回避するような態度は、慰安婦問題での日本政府としての考え方を表明した、1993年のいわゆる『河野談話』」にも逆行する」と指摘する。

河野談話の問題点をどう考えているのか。誤報と批判され、自ら検証して反省した朝日新聞の一連の慰安婦報道をどう思うのか。

続けて「それは韓国側の冷静な判断を促すのに役立たないばかりか、国際社会からも支持を得られないだろう」と書く。「それ」とは「歴史の事実を回避するような態度」を指すのか、それとも「河野談話への逆行」を指すのか、よく分からない。しかも河野談話の内容が事実だとは言い切れない。

いずれにせよ、河野談話などいくつかの経緯があって生まれたのが、2015年の合意であることは間違いない。合意を反故にした文在寅大統領にこそ、大きな非がある。日韓関係を最悪にした元凶げんきょうは、文在寅政権なのだ。

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