3.11に関係なく「南海トラフ上のスケジュール」に従って起きる

なお、南海トラフで起きる巨大地震の連動は、2011年の東北地方太平洋沖地震が誘発するものではなく、独立して起きる可能性が高いと考えられています。

鎌田浩毅『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書)

というのは、地震を起こした太平洋プレートと、3連動地震を起こすフィリピン海プレートの2つのプレートは、別の方向に移動しており、沈み込む速度も異なるものだからです。

言うなれば、別の方向に動く畳と、別の時計を持った畳の話だからです。なお、東海地震を予知するために海底に設置されたひずみ計は、東日本大震災直後に特に何の変化も示していません。

地震学では予知現象の1つとして、巨大地震の前に少しプレートが滑る現象が知られています。「プレスリップ」と呼ばれる滑り現象ですが、これをつかまえようと日々観測が続けられています。「3.11」ではマグニチュード9に達する巨大地震が起きましたが、こうしたプレスリップは確認されませんでした。海溝型の巨大地震の発生前にプレスリップが観測されるかどうかは、現在でも研究中の最先端の課題です。我々地球科学の専門家には、まだ未知の現象が山積しているのです。

西日本の巨大地震の連動は、おそらく、3.11の地震とは関係なしに、南海トラフ上のスケジュールに従って起きるだろう、と私も考えています。こうした情報を、次の危機を乗りきるためにぜひ活用していただきたいと願っています。

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