接種そのものは、通常の筋肉注射となんら変わらず、針を垂直に刺入し、一瞬で終了。そのあと押さえてバンドエイドを貼ってもらった。ロット番号などの書かれたワクチン記録カードを受け取り、アレルギーの対策として、15分間待機するように説明される。同時に、予想される副反応について説明を受け、解説書類を渡された。

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接種後、ロット番号などが書かれた記録を受け取る。
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副反応の説明が書かれたシートとファイザー社のワクチンの説明などの書類を渡される。
接種を受ける筆者。(写真=筆者提供)

ソーシャルディスタンスを保った広い待機場所の椅子に腰掛け、巡回してきた係員に次の接種の予約を取ってもらった(ファイザーの場合、3週間後)。巡回看護師が、5~10分おきに「気分はどうか」と声をかけてくれた。気分が悪くなった人は別室に案内されて手当をされる。アナフィラキシーへの対応は十分されているようである。

予約制がしっかりしていたこともあり、全過程30分未満で終了した。

幸い筆者は特に大きな副反応はなかった。接種局所の痛みは、接種当日は通常のワクチンと変わりなかったが次第に増してきて、翌日かなり痛みを伴った。しかし、翌々日にはひいて違和感程度に減少した。

治験による副反応のデータ

通常、体内で免疫反応が起こると、局所の疼痛、腫脹から、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛などの全身症状が出る。これはワクチン接種がうまくいっている証拠でもある。これらの反応はワクチン接種日を1日目とするとファイザー社もモデルナ社のワクチンも通常3日以内に軽減する。

治験では、ファイザー社のワクチンの最も多い副反応は局所の痛みで、16~55歳の被験者では1回目には83%に上っており、痛み止めなどを飲んだ人は28%程度。また、頭痛、倦怠感、筋肉痛といった症状もそれぞれ42%、47%、21%であり、38度以上の発熱も4%と報告されている。

インフルエンザワクチンのフルブロックの接種で局所痛、頭痛、倦怠感、筋肉痛がそれぞれ32%、17%、13%、11%。発熱は1%以下であることを考えると比較的高い。

55歳以上ではこれが減少傾向にあるので、若い人ほど反応が強いことが考えられる。モデルナのmRNAワクチンや、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどのウイルスベクターを使用したワクチンでも若年層の副反応は大きく、接種量を減らすなどする必要があると言われている。安全性も考慮しモデルナ社は現在、低用量のワクチンでの12~17歳での治験を進めている。

情報が蓄積され、広くシェアされる仕組み

接種2回目には、1回目の接種後に形成された獲得免疫も加わり反応が強くなる。そのため、副反応はどのコロナワクチンでも2回目以降に大きくなる。

ファイザー社のワクチンの治験では、16~55歳で局所の痛みは1回目より若干減少し78%であるが、頭痛や倦怠感、筋肉痛といった症状は52、59、37%と圧倒的に高い。痛み止めや解熱剤を飲んだ人は45%にのぼる。