究極の選択を迫られるからこそ価値観が問われる

両親がフルタイム勤務で働く子持ち核家族は、びっくりするくらいにすぐ「時間がない」状態に陥ります。

特に夫が日本型の長時間労働をしている家庭は、母親側の時間が顕著になくなります。

実際、6歳以下の幼児持ち共働き家庭では、妻は夫と比べて4.9倍の時間、家事・育児をしていると内閣府の調査で報告されています。(*1)

私も育休明けに仕事復帰してつくづく感じましたが、ワーキングマザーは強制的に24時間を見直さないと、すぐに生活が立ち行かなくなります。

もう時間がなさすぎて「仕事をやめるか、家事をやめるか、子育てを放棄するか」というような究極の選択を迫られます。これを乗り越えるためには、価値観の変容(パラダイムシフト)を起こして、自分が変化するしかありません。

「時間の枠」を乗り越えるためには、優先度をつけて、今必要のないもの、順位が低いものをやめていくしかない。そのため、ワーママたちは「仕事・家事・育児」の優先度を常に考えています。

「今朝は子どもがぐずぐずしてたから、夜に発熱するかもしれない。明日、病院に連れていかなければならないかもな……。ということは、明日提出予定の資料は早めに仕上げておかないとやばい。昼休みはいつもの半分の時間にして、今やっている仕事を1時間後に回し、資料を先に仕上げておこう」

このように、瞬時にやることの優先度をつけて、時間の「引き算」や「入れ替え」を行っています。

*1 広報誌『共同参画』

「マイものさし」を持つことが大切

私は、これを「時間の使い方の筋トレ中」と例えています。ワーママたちは毎日、負荷ギブスをはめた状態で筋トレをしているようなものです。気がつくと「時間の使い方」が急激に上達します。

ワーママのように「そうしないと生活が回らない」となると、切羽詰まって、時間の「引き算力」が向上するのです。私自身も、時間の使い方がうまくなったと実感しているのは、共働きワーキングマザーになってからです。

時間の見える化をした後に、「引き算と足し算」をする時には、闇雲に足したり引いたりすればいいわけではありません。

「どの時間を引き、足せばいいのか」

この基準となるのが自分の価値観です。この価値観を明確にするために、時間に対する「マイものさし」を持ちましょう。ここでは2つの「ものさし」を紹介します。まずは見える化した時間を「分ける」時に意識したい2つです。