丸川会長では「世の女性たちの怒り」は収まらない
さて、その組織委理事の「わきまえる女」7人は以下の通り。
田中理恵(体操)
谷本歩実(柔道)
成田真由美(競泳)
蜷川美花(写真家・映画監督)
丸川珠代(参院議員)
ヨーコ・ゼッターランド(日本名・堀江陽子、バレーボール)
アスリート5人、芸術家1人と政治家1人で、これが「わきまえる女」、つまり森組織委にとって理想的な女性の代表なのだろう。頼みの綱の丸川さんもいらっしゃる。もし森会長を更迭するなら、この飼いならされてきた「わきまえる女」たちも同罪だろう。つまり丸川会長では、世の女性たちの怒りは収まらないということだ。
しかも丸川議員は、環境相、五輪相と華やかなひのき舞台を歩んでいるが、コロナで開催が1年遅れ、それも無観客か縮小の「ショボい五輪」になれば、大枚はたいてこの程度かという非難の矢面に立つ。笑顔だけで切りさばけるとは思えない。
更迭しても理屈は立ち、政権への打撃も最小限に済む
橋本聖子・現五輪相は4日、森会長に電話して「あってはならないことと申し上げた」と取材陣に語ったが、実は菅首相から五輪担当相として森会長にそう言うよう指示されたからだ。現に菅首相の同日の国会答弁も、まったく同じである。
橋本議員が安倍政権下で五輪担当相に指名されたのも、竹田恒和JOC前会長を山下泰裕現会長に交代させたのも、森会長のツルの一声だったから、恩義のある森会長の「ネコの首」に鈴をつけに橋本五輪相は行かされたようなものである。
首相のハラはもう固まっているのではないか。今週の週刊文春で、東北新社に務める長男の正剛氏が、総務省の総務審議官でスマホ値下げのキーパーソンである谷脇康彦氏ら通信・放送関係の官僚4人に対し日本橋人形町で接待したことが報じられたからだ。
ここで谷脇氏の首を駆られたら、スガノミクスの柱の一つが頓挫しかねない。現に4日の予算委で接待を認めたのは秋本芳徳情報流通行政局長で、なんとか通信業界への競争導入論者である谷脇氏をかばって処分で済ませ、辞任させたくない意志がみてとれる。
それにはスケープゴーツ――総務省幹部と長男の接待疑惑が霞むような大物の更迭で当座をしのごうという気持ちになっても無理はない。どだい、失言は森氏自身の責任であり、泣きっ面にハチの政権がここで尻尾切りをしても理屈は立ち、打撃も最小限に済むと計算するはずだ。