中国人が抱えるコンプレックス

中国は部活がないこともあるが、そうした国家ぐるみで逸材を発掘してきたという経緯があるため、発掘された本人は、血のにじむような思いをして練習し、オリンピック出場やプロの音楽家などを目指した。逆にいえば、そうした経緯があるため、日本のように「音楽大学を卒業して、地域のピアノ講師になる」といったキャリアの人は、むしろ、これまでの中国では少なかったといえる。

中島 恵『中国人のお金の使い道 彼らはどれほどお金持ちになったのか』(PHP新書)

加えて、「勉強だけではダメ、という最近の風潮もある」というのは冒頭の女性だ。もちろん、中国では今でも勉強ができることがいちばん大事という考え方があり、一流大学を目指す人が圧倒的に多いが、世界の人々と比べて、中国人は勉強以外の知識や一般教養があまり身に付いていない、というコンプレックスもある。

日本人に一般教養があるかというと、一概にはいえないことだが、例えば、日本人ならば、音楽に精通している人でなくても、ベートーベンの曲「エリーゼのために」を知っていることが当たり前、など受験に関係ない知識や雑学も身に付いている人は多い。そうしたものが、「受験勉強に時間をとられる中国では比較的少ない」と、現在、社会の第一線で働いている中国人の父母たちは感じているようだ。

冒頭の女性が「将来、世界に出ていっても恥ずかしくないように」といっていたが、今の子どもたちが「勉強以外」の習い事もしているのには、そうした事情も背景にあるようだ。むろん、それも父母に経済力があることが大前提であり、中国では習い事をするのも、何をするのも、お金次第……ではあるのだが。

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