「勉強以外」の習い事にもお金をかけるワケ
中国人が子どもの教育に熱心なことは日本でもある程度知られているが、近年は過熱しており、都市部の中間層以上の世帯では、子どもの教育費だけで、日本円で年間200万~300万円もかけているという人もいる。
だが、昨今の中国で特徴的なのは、学習塾や家庭教師代などの「勉強」だけでなく、芸術面の習い事など「勉強以外」にも相当のお金をかけているという点だ。そこには中国人父母の子どもにかける、どんな思いがあるのだろうか?
「わが家の場合、私立中学に通う長女の学費は年間約5万元(約75万円)と、私立の中では平均的な額。小4の時から通わせていた学習塾は、今は3科目(国語、英語、数学)、それぞれ週に2時間で、年間約6万元(約90万円)、夏休みの短期集中コースは約6700元(約10万円)以上です。
次女の分と2人合わせると、教育費は年間24万元(約360万円)くらい。うちは両親がかなり前に買ってくれたマンションがあり、住宅ローンを払う必要がないので、その分、子どもの教育費にかけられる。でも、それだけじゃないんですよ。最近では芸術関係の習い事にお金をかけている人がとても多いんです」
「将来、世界に出ていっても恥ずかしくないように」
取材に応じてくれた女性は夫と2人の娘の4人家族だ。自身は企業の管理職、夫は会社経営者で年収は2人合わせると、日本円で2000万円を超える。所得が増加している中国では、これくらいは中間層の範囲内であり、富裕層とはいえないが、彼女自身、有名大学卒であるだけに子どもの教育にも非常に熱心だ。
「娘たちには勉強だけでなく、将来、世界に出ていっても恥ずかしくないよう、情操も身に付けてほしいと思って、小学校に入った頃からピアノ、書道、ダンスを習わせています。これら3つの費用は合わせて1人年間4万5000元(約67万円)くらい。
それ以外に、1年に1~2回は発表会があるので、その費用が別途かかる。ダンスならお揃いの衣装を買わなければならないし、ピアノは豪華なドレスを用意するなど、お金がかかります。でも、うちなんかまだ安いほう。もっと習い事にお金をかけている人も大勢いると思います」
杭州市で小学生の息子にヴァイオリンを習わせているという女性にも話を聞いてみた。その女性は夫ともども金融関係の仕事をしており、年収は日本円で3000万円以上と生活には余裕がある。