日韓関係を改善して「対北朝鮮融和政策」を進める方針

文在寅大統領が最優先課題に挙げる「対北朝鮮融和政策」は行き詰まっている。2019年2月のベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったままだ。アメリカと北朝鮮の協議は暗礁に乗り上げ、アメリカと北朝鮮の間に入る文在寅氏は、日本政府がアメリカのバイデン次期政権に働きかけるよう望んでいる。しかし、バイデン次期政権は金正恩氏に厳しい。このままでは北朝鮮に対する制裁が強まるばかりだ。

このため、徴用工と慰安婦の問題で譲歩する姿勢を日本に見せ、まずは日韓関係を改善しようと動いたのだろう。これが文在寅氏の計算である。

文政権は7月の東京五輪の開会式にジョー・バイデン氏と正恩氏がそろって出席し、その前後に3回目の米朝首脳会談を実現し、念願の対北朝鮮融和政策を進めたいようだ。すでに文在寅氏がバイデン次期政権との交渉に入ったとの報道もある。

こうした韓国の動きに日本はどう対応すべきなのか。外交の基本は自国の利益を求めることにある。常に国益が優先される。菅義偉政権が文在寅氏を相手に外交の基本を貫き通せるかどうか。菅政権の鼎の軽重が大きく問われている。

なお、21日には英紙タイムズ(電子版)が、「新型コロナウイルスの影響で、日本政府は今夏の東京五輪を中止せざるを得ないと内々に結論付けた」と報じた。詳細は不明だが、もし東京五輪が中止になれば、文在寅氏の計画は潰えることになる。

写真=iStock.com/winhorse
東京都庁に掲げられていた東京オリンピック・パラリンピックの招致ポスター。

「行動で示せ」「韓国が解決すべきだ」と小気味いい産経社説

1月20日付の産経社説は「文大統領の会見 言葉ではなく行動で示せ」という見出しを掲げてこう主張する。

「頑なだった従来の姿勢を軟化させた形だが、言葉だけの話なら、額面通りに受け止めるわけにはいかない。行動が伴わなければ、何も言っていないのと同じだからだ」
「徴用工も慰安婦をめぐる問題も国際法を踏みにじって日韓関係をこじらせたのは韓国である。本気で関係改善を図りたいのなら、韓国自身が解決を図るべきだ」

「行動で示せ」「韓国が解決すべきだ」と実に小気味よく書いてくれる。へそ曲がりの沙鴎一歩も思わず膝を打ってしまう。