希少な「引っ張りだこの職種」とは

では、こうした中で転職しやすいのはどんな人なのか。今、最も求人が多いのはDX(デジタルトランスフォーメーション)やITの分野、および慢性的な人手不足が続いている建設業や薬剤師などです。いずれも求人需要に対して供給が追いついていないため、経験者は引っ張りだこの状態。転職にあたっても、成功率はかなり高いでしょう。

とはいえ、この分野の経験者はそう多くはありません。そうでない人が転職活動をする場合は、まず企業が今どんな人を求めているのか、「雇う側の目線」を知っておく必要があると思います。

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採用されない「勘違い転職者」の典型例

社会はコロナ禍で大きく変化しました。そして、今後20年の間にはもっと激しい変化が起きると言われています。その中で生き残っていくために企業も必死。コスト削減や人員効率化の波の中で、それでも雇いたい、給料を払いたいと思わせる人材──。それは「自社の生き残りに貢献できる人」です。

こうした企業が採用の過程で重視するのは、「過去に何をやってきたか」ではなく「これから何ができるか」。これまでの経験を自社でどう生かしてくれるのか、デジタル化やAIの普及を含めた時代の変化についていけるのか、主にその2点をとことん見極めようとするはずです。

ですから、転職者のほうも「これから社にどう貢献できるか」をPRできないと生き残れません。

しかし、ある程度経験を積んできた35歳以上の人にとっては、これが意外と難しいもの。実際、転職希望の中年男性が、採用面接で何ができるか聞かれて「部長ができます」と答えたという、笑うに笑えない話もあります。

これは、自分の能力を過去の肩書きでしか示せない“勘違いミドル”の典型例。肩書き=能力とされていた頃と違って、今は転職者も、自分の強みはどこにあるのかしっかり言えるようにしておく必要があります。まずは自分の市場価値や需要がどれぐらいなのか、客観的に見つめてみてください。

35歳以上の転職者には3種類しかない

厳しいようですが、雇う側からすれば、35歳以上の転職者には3種類しかありません。スペシャリスト、ヘッドハンティングされるようなエグゼクティブ、そしてそれ以外はすべて「中高年」です。

スペシャリストやエグゼクティブはほんの一握りなので、転職希望者の大多数は「中高年」に分類されてしまうでしょう。自分がここに当てはまると思う場合は、まずは圧倒的多数層の中にいることを自覚して、その上でどうすれば採用したいと思われるのか、真剣に考えなければなりません。