文春砲で面白くなった人たち

15年、当時衆議院議員だった金子恵美氏が妊娠中、同じく衆議院議員だった謙介は「国会議員初の男性育休を取る」とぶち上げ、一躍、当時ワークライフバランスや男性育休取得を熱心に推進していたリベラル系マスコミのスターとなった。記事にインタビューにトークショーやらシンポジウムやら、「これが新しい世代の国会議員の姿だ!」とリベラル系論客からも引っ張りだこ。イケメンだわ政治家だわ活力に満ち溢れているわ、しかも元ミス日本関東代表の超絶才女(金子恵美氏)との間に生まれる子どものために育休取るとかイカすこと言い出すわ、あの頃の謙介は「時代の正義」だった。

写真=iStock.com/Tero Vesalainen
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ところが、そんな絶好の機会を見計って笑顔で高々とぶっ放されるのが文春砲である。金子恵美氏の出産をブログで発表し「これから2人で大切に育てていきたいと思います」と殊勝に宣言した直後、その出産数日前に謙介がグラドルと不倫していたとのスクープがドッカーンと上がった。

「はぁあああ? 何してんの?」。世間みんな、お口あんぐり。誰も謙介を助けることなどできず(というか、ありていに言ってあの時リベラル界はいっせーのせで冷徹に謙介を見放したと思う)、謙介は議員を辞職した。

そしてここがポイントだ。妻の金子恵美氏は、出産直後の非常に心身がつらい時期であるにもかかわらず、謙介を許したのである。いやぁ、さすが政界でいろいろな舞台も修羅場も踏んできた女は違う、凄いきもだと思った。

その時の経緯は、当時の私の連載コラムにまとめてあるので、ご覧いただきたい。「男性育休議論に幕引き? “ゲス不倫”宮崎謙介議員の罪

政治も子育ても語れる鉄板コメンテーター

もちろんそこで始まるのは、家庭内外の調整に、対外的なお詫び行脚にと、全方位の針のムシロ人生である。ところが、そこからがこの夫婦の凄いところだった。彼らは夫婦関係と家庭を維持構築し、謙介はイクメン業と並行して会社経営しつつ、ちゃっかりワイドショーのMCポストを手にする(!)。金子恵美氏は17年の総選挙で議席を失ったが19年に引退、タレントへ転向し、画面映えする絶対の美人でありながら元衆院議員として政治も子育ても語れるという、ワイドショーの鉄板コメンテーターとして引っ張りだこである。

彼らは、「誰もが知るゲス不倫で人生根本からポッキリ折れた、超絶イケてるルックスを備えた元衆院議員」という、他に類を見ない人材(他にいてたまるか)として、めちゃめちゃ面白くなったのだ。