スペインの高校生は週5回活動で完全オフが週2日
大事なことは、“コンペディティーボ”があることです。つまり、競争力があるということです。スペインの子どもたちは練習試合や公式戦をやるにしても、多いときでも水曜日に練習試合を1回入れる程度です。それも、ほとんどの選手は45分1本しか出場しません。
日曜日にリーグ戦があるので、それを踏まえて45分の出場に留めるのです。南米もほぼ同じです。紅白戦は水曜日と木曜日だけ実施し、公式戦が日曜日だけ。それがみんなわかっているから、競争力を維持しながら全員の焦点が一つに集中するのです。この点は日本と大きく異なりますね。
スペインを例に挙げて話をします。練習は9歳までは週に2回、試合が週に1回です。12歳までが週3回の練習と週1回の試合。これは南米もヨーロッパも一緒です。13歳以降は週4回の練習と週1回の試合。高校生ぐらいから週5回の活動があります。完全オフの日が週2回。だから、週6回活動するということはありません。
「走れ!」が正しいなら、日本は世界一強い国になっているはず
練習時間は1日1時間半以上はやりません。
スタートから終わりまで、話を含めて1時間半が最大です。その代わり、練習中のレスト(休憩)の時間は非常に短いです。日本の練習風景のようにダラダラしません。
なぜなら時間が決まっているから、ドリンクを走って飲みに行き、走って戻ってくるのです。練習中に足が止まらないようにしているので、1時間半の練習でもみんなクタクタになって帰っていきます。
日本でも練習は1時間半、その時間にすべてを注ごうとする強度の高い練習を取り入れるようになるなど少しずつ良くなってきていると思いますが、昔が酷すぎた面はあると思います。ひと昔は根性論で「走れ! 走れ!」というものでしたが、それが間違っていたことが科学的にもわかってきています。もしそれが正しかったら、日本は世界一強い国になっているはずです。しかし、現実は何も変わっていません。
さきほどの練習量の話と非常に似ているのですが、子どもが親に流され過ぎて、練習のし過ぎ、教えられ過ぎになっていることがしばしばです。それでも小学生まではいいかもしれませんが、その上の年代に進んだときに、もう身体の中に入る隙間が残っておらず、小さいときほど伸びていかない場合があります。
一番の問題は、やりたいサッカーが、やらされるサッカーに変わってしまい、楽しさを失ってしまうことです。