「私は10年以内に総理大臣になる」

「改革派・東国原」の本質を見る上でリトマス試験紙として注目を集めたのが、先述の道路財源問題への対応であった。特定財源維持の旗振り役を買って出たことについて、本人はこう弁明する。

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「そのまんま日記」で振り返る1年半

「宮崎はインフラ整備が遅れている。幹線道路は必要だ。道路特定財源の確保よりもその点を主張した。私は特定財源の制度は変えてもいいと思っている。一般財源からでもよかった。道路をつくる基準を見直してもらいたい。だから、政府が改革してくれれば何も言わない」

2階に上がってから梯子を外されているのに気づき、トーンダウン、辻褄合わせの弁解を口にしているようにも映る。旗振り役を務めた真意はどこにあったのか、そこはいまだ不明である。

この問題で、知事と一緒に、当時の伊吹文明自民党幹事長や町村信孝官房長官と会った県議の中村は、「みんな高く評価していた。宮崎県の努力に報いたいという気持ちを持っていると思う。一般財源化しても、造る道路は造ると言っているわけだから」と話している。

一般財源化反対で突っ走った狙いは宮崎県の道路整備が第一だが、もう1つ、将来の国政進出の布石として自民党に恩を売っておこうという深慮遠謀ではなかったかと見る人もいる。

知事2年目の今年、春先から「国政転出」が何度も話題となっている。東国原自身、受け取り方によっては国政への転身宣言ではと思える言葉を平気で口にしたり、議会で真意を糾されると、明言を避けて含みを持たせたりするからだ。

一方、今年1月に各界の有志や地方自治体の首長などを集めて発足した「せんたく」(地域・生活者起点で日本を洗濯〈選択〉する国民連合)に、神奈川の松沢成文、京都の山田啓二、佐賀の古川康などの各知事とともに名前を連ねた。3月発足の国会議員による「せんたく議員連合」には自民党、民主党、公明党などの政治家が参加し、その数は100人を超えた。将来の政界再編をにらんだ動きではないかと注目を集めた。代表を務める北川が結成の狙いを説く。