「頼もしい、大人の男性」と思っていた夫が…
【CASE3】妻には暴君、上司には媚びへつらうモラハラ夫
「やっと理想的な結婚相手にめぐり会えた」と思ってはじまった結婚生活も、予想しなかった形で展開していくこともある。
N美さん(33歳)は、4年前にお見合いで今の夫(42歳)と結婚。当時20代だったN美さんにとって、9歳年上の夫は人生経験も豊富な大人の男性に思え、頼もしく感じたという。有名企業に勤務する夫は収入も高く、N美さんは友人からもうらやましがられていたという。
そんな“理想の夫”が“モラハラ夫”だと気づいたのは、やはりコロナ禍で夫婦が長時間ともに過ごすようになってからだった。
「それまで許せてきた私のズボラな性格や家事が不得意なことも、ずっと一緒にいるようになって許せなくなったのかもしれません」。
幼稚園が休園中の子どもが家のなかを走るたびに「オマエのしつけはどうなっているんだ!」と怒鳴りまくり、家事についても「こんないい加減な掃除ですませるなよ!」「オレは人より稼いでいるんだから、たまにはうまい料理を食わせたらどうだ!」などと平気で罵る。
それでも耐え続けていたN美さんが、夫に対し新たな感情が芽生えたきっかけは意外な出来事だった。
「夫を尊敬する気持ちや愛情は完全になくなりました」
夫にかかってきた上司からの仕事の電話に、愛想笑いをしながら電話口でペコペコ頭を下げ、明らかにお世辞とわかる言葉を並べたてている夫の姿を、N美さんは目撃したのだ。
「私にはあんなに暴君のような振る舞いをするので、てっきり職場でも威張っているのかと思いきや、上司に対しては恥ずかしいほど媚びへつらっていた夫。それを知った時は複雑な気持ちでした」
職場でのストレスが妻へのモラハラに向かわせるのだと悟ったN美さんは、夫をねぎらう気持ちと同時に、器の小ささにもガッカリしたという。
「妻へのモラハラでしかストレスを発散できないなんて“残念な人”だな、と。モラハラは耐え難いけれど、子どものためにも離婚する気はありません。ですが、夫を尊敬する気持ちや愛情はもう完全になくなりました」