Ⅴ.国民側の英雄たる「挑戦者」としてのイメージ作り
トランプ大統領が置かれている最大の問題点は、現職大統領であるがゆえに、トランプ自身の最大の強みであるアウトサイダー・挑戦者であるというイメージが削がれてしまっていることにある。つまり、国民が倒すべき明確な敵が設定されておらず、有権者の善悪の基準がトランプ大統領自身への好悪となってしまっているのだ。
そのため、自らの政権実績をPRする方針を見直し、自らをエスタブリッシュメント(既得権)に対する挑戦者と描きなおすことは効果的な対応策の1つとなるだろう。
7月現在、トランプ陣営はこのアウトサイダーとしてのカラーを再強調する戦略は採用していない。しかし、ブッシュ政権の高官ら(43 Alumniと呼ばれるエスタブリッシュメントのお友達グループ)がバイデンを支持したことは、トランプ大統領にとって好機と見なすこともできるだろう。政権の外に放逐されているスティーブ・バノン前主席戦略官との関係を回復し、自らをワシントン政治と対峙する国民側の英雄と位置づけ直すことも一考に値するはずだ。