医師が緊急事態宣言の再発令は必要ないと考える理由

新型インフルエンザ等特別措置法に基づく政府の「緊急事態宣言」解除され、ほっとしたのも束の間、「また休校するのか?」「勘弁してほしい」と不安や不満を抱く人もいるだろう。世論は割れているが、筆者および筆者の周囲の医師たちは「再度の『緊急事態宣言』は必要ない」と考えている。

筆者が「必要ない」と考えているには、日本集中治療医学会のホームページ(ECMOネット)のデータを見ているからだ。

日本集中治療医学会とは、集中治療医を中心に、集中治療部で働く看護師、臨床工学技士などが集まる学会である。そしてECMOネットとは、従来は日本中に散らばったECMO(体外式膜型人工肺)の専門家たちが相談するために立ち上げられたオンライン上のクローズドな会議室だが、今回のコロナ対策として各病院の集中治療部担当者が「人工呼吸器やECMO使用患者数」を手入力することでリアルタイムかつ精度の高い医療統計情報を提供している。

そして、このECMOネットのデータではコロナ重症患者のピークは4月下旬で、その後は一貫して下降トレンドにあることを示している。

出典:「日本COVID-19対策ECMOnet」より引用

コロナに興味を持つ人に、ECMOネットの存在を教えると「こんなサイトは知らなかった」「便利でわかりやすいのに知られてないですね」と言われることが多い。

なぜ、あまり知られていないのか。理由の一つは、筆者の印象では、集中治療医や臨床工学士は概して「機械・工学には強いが、口下手な人材」が多く、ワイドショー番組やYouTubeに登場するような医師とはキャラが真逆なのである。