ただし、残念なことに乳酸菌はビフィズス菌のように腸に定着しないので、毎日摂取する必要があります。胃酸に弱いことも弱点です。なので、胃酸の影響を受けにくい食後30分以内に、1日200gを目安に摂取するのがベストです。ある試験調査によれば、乳酸菌を含むヨーグルトを毎日食べてもらった高齢者と、そうでない高齢者を比較したところ、前者のほうが風邪を引くリスクが下がり、NK細胞の活性が増強されました(表)。
キムチや漬け物など、発酵食品も乳酸菌が豊富です。キムチは浅漬けだと乳酸菌の効果が低いので、塩分の摂りすぎに注意しつつ、しっかり発酵させたタイプを選ぶといいでしょう。
納豆も効果が期待できる一品です。納豆菌が生み出す菌体物質は、ビフィズス菌などのエサになるので、腸内の善玉菌を増やします。豊富に含まれているビタミンB2は、細胞の再生を促進し、免疫に大事な粘膜を強化します。
腸の活動を充実させるうえで注意したいのが、便秘です。ビフィズス菌などの善玉菌は、大腸の入り口で増殖するので、大腸の奥にいくほど働きが弱まります。便がとどまる時間が長いほど悪玉菌が増殖。結果、有害物質が増えて、免疫機能に悪影響を与えます。
便秘を防ぐには、ある程度の量を食べて、大腸を刺激する必要があります。朝食を食べるのも効果的です。夕食から時間が経って、朝の胃はからっぽの状態。そこに食べ物が入ると、腸の蠕動運動(便を押し出す動き)が活発化して、排便が促されやすくなります。
(3)ストレス対策
NK細胞はストレスに弱い!
免疫にとって、警戒しなければいけない敵は、細菌やウイルスだけではありません。ストレスも手ごわい敵です。
人間の体内では交感神経と副交感神経の働きがバランスを保つことで、自律神経として全身の環境を整えています。免疫細胞である顆粒球とリンパ球は、この自律神経の影響を強く受けているのです。日中などの活動時、交感神経が優位になると顆粒球が増え、休息時に副交感神経が優位になるとリンパ球が増えます。顆粒球とリンパ球のバランスは約6:4です。しかし強いストレスを受けると、不安や緊張でずっと交感神経が働き続ける状態になり、顆粒球が増加。過剰な顆粒球はリンパ球の働きを抑止するので、免疫力が低下してしまいます。
またストレスで交感神経が優位になると、それを鎮めようと副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。するとNK細胞はコルチゾールをくっつけてしまう受容体を持っているため、NK細胞の動きが阻害されてしまうのです。