日本が自力で国力を高めるために必要なこと
このように、コロナショックによって世界経済は低迷し、さらには米中の対立先鋭化が世界経済の下方リスクを高めている。わが国は、米中対立の先鋭化に対応しつつ、自力で国力を高めなければならない。
そのためには、わが国のヒト・モノ・カネを用いて独自の技術を磨き、米国からも、中国からも必要とされる高品質のモノ(製品)を生み出すことが不可欠だ。具体的には、半導体の生産に欠かせないフッ化水素、半導体素材のシリコンウエハー、電子回路に欠かせないコンデンサなどがある。
重要なことは、わが国が、高品質の素材や部材を自力で生み出し、世界シェアを高めたことだ。その力に磨きをかけることによって、わが国は米中両方からリスペクトされる存在になることができるだろう。
それが、わが国が米中と適切な関係を構築するために必要な発想だ。わが国は安全保障を米国に依存している。この関係は切ることができない。一方、わが国の経済成長にとって、民間レベルで中国との関係を強化し、中国の流通市場へのアクセスを強化することも欠かせない。
米国からの要請に応じながら中国との経済的関係を強化するためには、海外の要素に依存しない、わが国独自の高品質な、新しいモノを生み出し、その世界シェアを拡大させることが不可欠だ。
韓国は自分の足で自分の体を守れない
独自の技術を生み出す力は、一朝一夕には身につかない。例えば、韓国の場合、サムスン電子やSKハイニックスなどの半導体シェアの高さは、わが国からの技術移転に支えられてきた。さらに、韓国は経済全体の資金調達を日米に依存している。韓国が自力で新しい、米中から必要とされる技術を生み出すことは難しい。
また、韓国は米国から中国のファーウェイとの取引を見直すよう圧力をかけられている。つまり、韓国は自分の足(技術)で、自分の体(経済と社会)の長期安定を目指すことが難しい。
わが国は蓄積してきた技術力に磨きをかけ、IT先端分野の成長を支える高品位な素材や部材を中心に、競争力の向上を実現しなければならない。それが不安定感高まる今後の世界経済の変化に適応するために大切だ。