国庫から「1000円」を取り戻した

その地元の信金に電話してみると、その約5万円はすでに引き出され、残りはたった1000円だとか! 抜け目のない過去の自分が憎い。しかし気を取りなおし、1000円といえども自分のお金なのでおろそうと思ったら、冒頭のように、「すでに国庫に収納されている」と言われたのだ。そんなのありかと気色ばむ私に、「取り戻す手続きをしていただければ大丈夫ですよ。お届け印がなければ印鑑も替えられるので、身分証明書と印鑑を持ってお越しください」とのこと。

ほっとして地元の信金の窓口に出かけ、何枚もの書類にサインと押印という面倒な作業はあったものの、約1週間後に現金は戻った。こんなに手間をかけて戻した1000円。口座に入金するだけでは面白くない。有効に使おうと、1ホール1000円の薄いアップルパイにかえて、毎日ちまちまおいしく食べた。貯金ができないわけである。

もっと大きな金額が国庫に収納されているやも、と父の貯金通帳を見ながら銀行に電話し確認作業をしたが、気が付いた口座については大丈夫だった。もっとも、万が一国庫に収納されていても、多少面倒な手続きはあれど、戻ってくることがわかった。

問題は保険だ。こっちは支払いが滞ったら失効してしまうのだ。そういうことにも今の今まで頭が回っていなかったうえ、父に「なんの保険に入ってるの?」と聞いても「火災保険以外はまったくわからない」と言う。

クレカ引き落としで定期預金がマイナス

とりあえず、可能性のある会社や郵便局や農協その他に電話し、父あての郵便物もさぐり、少しだけだがいくつかの保険を発見。引き落とし口座が空になり失効寸前のものもあったが、何とかセーフだった。保険はこれまでどんなに長く掛けていても、支払いの期日をすぎてしまえば何の意味もなくなるから、本当に恐い。

そして郵便物と口座を調べていた時に、思いもしなかった損害を見つけた。父はクレジットカードを所持していたものの、使うような買い物をする機会が近年なかったので、その明細は私はノーチェックだった。だが父の部屋にひいているケーブルテレビの引き落としがクレカになっていたのだ。そんなことも、父の郵便物を開けてクレカの明細を見て初めて知ったが、何と通帳を見ると、その引き落とし口座には何年も前からお金が入っていなかった。が、その銀行には定期預金があったため、そこから借入の形で、マイナスで引き落とされていたのだ。

定期預金の利息が消え入りそうな金額で時々入っているのに対し、その借入の利息ときたら。預金の利息の何倍もの金額が容赦なく落ちており、その状態が5年ほど続いていて、けっこうな損害になっていた。定期預金そのものの利息のお知らせはくるが、借入のマイナスについてはなんの連絡も手紙もない。「銀行さんってところはさ」と頭にきて、すぐにその定期預金を解約の上、引き落とし口座に入金し、そこからちゃんと落ちるようにした。しかもこのケーブルテレビの件、もう一つ脱力することがあった。