※本稿は、天野馨南子『データで読み解く「生涯独身社会」』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。
未婚化は女性より、男性の方が深刻
講演会でも感じるのですが、高齢の方ほど、男性よりも女性の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚経験がない人の割合)のほうが高い、未婚化は女性の話、という印象を持っている方が多いようです。
「未婚化」といったキーワードを目にすると、漠然と「(男女雇用機会均等法が制定・施行された)1980年代以降、高学歴化した女性が社会進出するようになって、結婚しなくなったからだろう」とイメージする方もいまだに見られます。
世間では未婚化と言えば「女性の未婚化」をイメージづけする傾向が強く、未婚化を題材にしたテレビドラマなどでも、独身中年キャリア女性と既婚の中年キャリア男性、といった役の組み合わせなど、女性の「おひとりさま」のイメージを強めるかのように描写されていたりするものもあります。
しかし、日本の未婚化は、統計上は女性よりも男性に顕著に起こっている現象なのです。
まずはこのことをデータでしっかりと確認したいと思います。【図表1】からわかるように、1985年の国勢調査までは、男女ともに生涯未婚率が非常に低く、強いて言えば女性の生涯未婚率のほうがやや高い状況が続いていました。
それが1990年の国勢調査になると、男性の生涯未婚率が急上昇を開始し、それ以降は男性の生涯未婚率が女性のそれを大きく上回り続けています。