72時間以降はデマ多発フォロー数で判断は危険


被災地の通行実績マップ●Googleは災害対応のページを特設。この中でホンダとパイオニアからデータ提供を受け、通行実績のある道路(青色)を地図上に示すサービスを提供中だ。

ネットを介した情報発信では、ほかにも様々な取り組みがあった。グーグルは、震災直後の11日から、人の消息情報を登録・検索できる「Person Finder」を開設。その後、「Google Crisis Response」(http://goo.gl/saigai)に統合し、震災に関する情報サービスの窓口を作った。ヤフーは、東京電力の計画停電を受け、15日から停電エリアを明記した特設ページを設けた。

とりわけ存在感を示したのが「ツイッター」だった。被災地では火災や津波の警報、遠隔地では安否確認、原発事故についての専門的な議論も交わされた。15日には首相官邸も災害情報を発信する「@Kantei_Saigai」を開設した。

村井教授は「象徴的な出来事」と話す。

「阪神・淡路大震災が起きた1995年は『インターネット元年』ともいわれる。情報技術の真価は、災害時にこそ問われることになる。通信回線が太くなり、端末の性能も上がったことで、社会として、ツイッターをはじめとするネットサービスを使いこなす基盤が整った」


大活躍したTwitter●安否確認や原発事故についてツイッターを利用する人が急増。被害の大きかった気仙沼市ではダウンしたウェブサイトの代わりに津波や火災の情報を発信した。

欠点も明らかになった。情報の伝播が早いため、「千葉の石油工場火災で有害物質が降る」といったデマも広がった。

「情報発信している人が信用できるのか。その見極めが重要。フォロー数の多さだけで判断するべきではない。NHKの各種アカウントは放送と同じく有用だった。また原発事故では東京大学の早野龍五教授などが冷静な分析を発信していた。マスメディアの報道に偏りがあるなかで、ツイッターを利用しているかどうかで、情報格差が生じている」(西田氏)

クロサカ氏は「1週間ほど経って、利用者が殺気立っている」とみる。

「震災後、48時間まではほかの通信インフラよりも機能していたように思える。しかしマスメディアやケータイが復旧しはじめると、デマの多さが顕在化した。72時間以降はデマが増えることが知られている。原発事故の収拾が図られないこともあって、多くの利用者は疲れている。短文で投稿できるため利用者の心理が表れやすく、脆さをみせた」

フォロー数が少ないと、デマに騙されやすい。ツイッターを情報収集に活用するなら、自分とは異なる価値観の人も、積極的にフォローしておきたい。

(PANA=写真)