バイトで稼いだお金を親に教えたくない子どもも…
源泉徴収義務者は、源泉徴収票を作成するにあたって「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に基づいて主たる給与から控除を受ける金額を計算する。
「令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は下記の通りだ。
給与所得者は、扶養家族(配偶者、子、両親など)にどれくらい所得があるかの見込み額を申請する。
源泉徴収義務者は、この申請書をもとに所得税法上の扶養家族に入れていいかどうかを判断する。
パートで働いている妻たちは、配偶者控除に入れる範囲を熟知している場合が多い。雇い主がシフトを組んでいても、年末になるとまとめて休みをとって収入を調整するのは、彼女たちが長年働く中で培った知恵だ。
では、親元を離れて大学に通っている子どもはどうだろうか。下宿の費用、学費、お小遣いなどを仕送りをしている親は、自分の扶養家族に入れて当然だという思いがあるかもしれない。
一方、子どもの中には、自由に使えるお金を稼ぐためにアルバイトをしている人もいる。いくら稼いでいるか親に知らせることで、仕送りの金額を減らされては本末転倒だ。知られずに済むのであれば、知らせたくないというのが子どもの言い分だろう。
バイト代が103万円を超えないよう調整する大学生
ある日、筆者がカフェで一息ついていると、大学生の会話が耳に入ってきた。
大学生A:「お前、今日もバイト行かないの?」
大学生B:「うん……」
大学生A:「年末年始、実家に帰らないんだろ。じゃあ、バイトに行けばいいのに」
大学生B:「そうなんだけど、親からあんまりバイトしすぎないようにって、言われてるんだ」
大学生A:「お前、バイトでいくら稼いでるか親に言ってるの?」
大学生B:「うん、去年、親父が税務署の呼び出しを食らって、罰金まで払わされたからな」
大学生A:「えっ、それって、どういうこと……?」
A君もB君も、同じコンビニで時給1000円でアルバイトをしている。
B君は、今年は年間収入を扶養控除の範囲内である103万円までになるように、調整してアルバイトをしていた。
年間の収入を気にしていないA君は、年末年始もアルバイトのシフトを入れて、扶養控除の範囲を超えてしまうかもしれない。