経営者が月300万円も「外食費」を使う理由
生活の中で最も支出が多い項目は食費です。総務省統計局が発表している家計調査によると、2017年の1世帯当たり食費は約62,038円/月で、全体の支出項目の内25%程を占めます。従って、一般的な家庭では特に節約の工夫を凝らす支出項目でもあります。
どうすれば節約ができるか。ひとつは自炊でしょう。弁当や作り置きに励み、総菜などはできるだけ買わない。または「飲み会」などの交際費を減らすという選択肢もあるでしょう。
一方、経営者には食費を節約するという考え方はあまりありません。これは、経営者にとって食費とは、単なる生きていくための支出ではなく、投資だからです。
例えば、筆者の知人の経営者は外食に月360万円を費やしています。彼は飲食業含む複数の事業を運営しており、日に2回も夕食をとることもあるそうです。ある日は19時頃に得意先との会食に出掛けた後、22時にオフィスに戻って打ち合わせをし、今度は残業していた従業員数名を連れて食事に出掛けていました。
なぜそれほどの支出が可能なのか。それは前者の支出は交際費として、後者の支出は会議費または福利厚生費として、会社の経費にしているからです。いわば売り上げを生み出すための投資といえるので、これほど高い金額を食事にあてても決して損ではないのです。
競合店調査も「研究開発費」として経費になる
この知人の月の飲食費は、従業員や他の役員陣とのランチミーティングやディナー、得意先への接待、競合調査や、料理人の引き抜きのためのリクルーティング、イベントなどその内容は多岐にわたります。
単なる食事も、会議や商談の時間にしてしまえば立派な「投資」です。多忙な経営者であれば、ランチの時間も幹部社員から報告を受ける貴重な時間。ビジネスが拡大する限り、得意先数も増え、他社との会食回数も必然的に増えます。他経営者からの紹介で仕事の依頼を受けることも多く、他社とのコミュニケーション時間は、会社経営上重要な時間です。
調査や研究開発という時間とお金の使い方もあります。先ほど述べたように、この知人は高級飲食店を経営するオーナーという顔も持ちます。そのため、本店レストランの店長と共に、新規の競合店や新メニューの調査にもよく行きます。
事業拡大のためのリクルーティングにも精力的です。地方の個人有名店へ訪れ、東京での出店に興味がないか勧誘も行っています。これらのレストランで取る食費は、いわば事業拡大のための研究活動といえます。
このように、月360万円という非常に多額の飲食代は、飲食事業を行っているからこその結果といえる側面もあります。しかし、一般的な会社でも、社内外の人との食事は「会議費」または「交際費」として経費処理することができるのです。