「院長からのメッセージが患者向けの言葉で掲載されているかを私は見ますね。もちろん、『患者さんの話をよく聞きます、いつでも来てください』という言葉が真実かどうかは実のところわかりませんけれど、それでも患者さんに対しての姿勢を打ち出しているかは重要です。病院も企業も一緒。まずは理念があって、それを働く人が共有しているところが、いい医療機関なんです」

ガイドライン違反の表記をしている病院は避けよう

言うまでもなく、ウェブサイト上で、先述した「絶対に」「必ず治る」「100%」といったガイドライン違反の表記をしている病院は、「絶対に」避けよう。

あらためて、私たちがちょっとした体調不良や、体の違和感に気づいたときには、まずは近所の身近な「かかりつけ医」で診療を受けることになる。かかりつけ医は基本的にはクリニック(病床数20床未満)だ。

「最初から大きな病院に行くことは、いまの時季だと大勢の風邪やインフルエンザの患者さんの中に飛び込んでいくようなものですし、長い待ち時間の間に症状も悪化しますので、避けたほうがいい。もし何科に行けばいいのかわからないときには『総合診療医』を選ぶことをお勧めします。比較的新しい分野ではありますが、幅広い診療ができ、かかりつけ医から専門医を紹介する『道案内』の能力に長けた医者のことです。専門医ではなくても、トレーニングを積んだ医者が増えていますし、サイトで確認するのがいいでしょう」

裴氏は、ヤブ医者にかからず、いい医者とつきあう「賢い患者」になるためには、「医術を魔術と勘違いしないこと」が大切だと念を押す。

「患者さんも皆さん忙しいですから、すぐに体調を治したいと思ったり、不安にかられて甘い言葉に揺れ動いてしまったりします。『何とか薬で治りませんか』『リスクなしの方法はありませんか』と尋ねられても、そんな魔法みたいなことはありません。1度の診察、治療ですべてが解決するのだと思わず、より確実なところを紹介してもらったほうがいい。

患者さんの病気の9割はコモン・ディジーズという日常的な病気。しかし、なかには1割の大変な病気がある。それをどう見つけるかがかかりつけ医の腕の見せどころ。そこからどう治療するかは、専門が分割されていますから、正しい医者は、プロに任せます。すべてが簡単にすまないからこそ、道案内がうまい医者、医者とつながりのある医者を見つけることが大切なんです」

PIXTA=写真
裵 英洙(はい・えいしゅ)
ハイズ代表
金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)修了。慶應義塾大学特任教授。厚生労働省「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」構成員。
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