「重いことは恥ずかしいことらしい」

もう一つ覚えているのは、友人とその母親が遊びに来ていた時の出来事です。

私と彼女はいつも通り一緒に遊んだ後、母親二人がお茶をしている居間に合流しました。その時、話題はなぜか体重の話になり、いきなり友人が「うちのお母さんの体重は○キロ!」と体重を公開したのです。

友人の母は、慌てふためき、顔が真っ赤になりました。明らかに自分の体重は他人に知らせるようなじゅうぶんに「軽い」ものではないという態度です。私はその体重を聞いても何も思いませんでしたが、その姿を見る中で、「重いことはどうやら恥ずかしいことらしい」というのを学んだのです。

冒頭のエピソードと重なるデータが、2016年から行っている、「からだのシューレ」のアンケート結果から出ています。「からだのシューレ」とは、身体と食べ物を、社会とのつながりから考えるためのワークショップです。これまでに22回開催され、私のほかに、元摂食障害の当事者で、摂食障害の啓発活動を行っている編集者の林利香さん、管理栄養士の鈴木真美さん、プラスサイズモデルの吉野なおさんがいらっしゃいます。

10代前半で「やせたい」気持ちが生まれる

シューレでは、ご来場の方全員に「初めてやせたいと思ったのはいつか」「なぜやせたいと思ったのか」という2つのシンプルな質問をしており、ご来場くださった女性161名(第1回~11回の合計)の回答を見ると、初めて「やせたい」と思った時期は、小学校高学年から中学までの時期に集中します。

つまり第2次性徴期を迎え、身体が丸みを帯びてくるその時期に、その成長を押さえるような気持ちが生まれているのです。ちなみに男性の参加者は18名しかないのでほとんど参考にはなりませんが、全員大学卒業以降でした。

なぜこの時期に彼女たちはやせたいと思ったのでしょう。「なぜやせたいと思いましたか」についての回答を分類すると、そのきっかけの65%を占めたのが、「比較」でした。この内訳をさらに細分化すると、①他者からのコメント、②自分で自分を比較する、③他人による他人の体型指摘、④洋服のサイズ、という分類が得られましたので、それぞれの中身を簡単にご紹介します。