レシートはポイ捨て、何にいくら使ったか全然わからない

綾さんは結婚当初は詳細に家計簿をつけ、家計管理をしていたそうですが、細かくやりすぎて、1年ほどで挫折してしまったそうです。それ以降はいわゆる「袋分け」で管理しています。以前はめったに赤字にならなかったので、やりやすい管理法でしたが、いまでは例えば食費の袋のお金がなくなると、他の袋から借りてきて使います。予算を決めていてもお金が残っている袋からとるので、袋分けの意味がありません。

レシートを取っておくわけでも、使ったお金を袋に記入するわけでもないので、「何にいくら使ったのか」がわかりません。綾さんが食費や教育費などで支出が増えていることを訴えても、「明確な証拠」がないので、「結局はムダ使いじゃないのか」と強い口調で言われてしまいます。こういうことから綾さんは、お金の面でも、精神面でも追い込まれてしまったようです。

夫が妻に生活費を渡し、妻が一人でやりくりする家計管理をしているご家庭では、毎日の食材から、半年先の子どもの授業料まで、妻がひとりでやりくりを担い、「孤独」と「プレッシャー」を背負い込むケースが多いようです。特に妻が専業主婦の場合は、「自分に収入がない」ことが負い目になり、より大きなストレスにさらされることになります。

家計管理は夫婦がベクトルを合わせ、協力して取り組んでいくことが大切です。特に峰岸家のように、赤字が続いて借金まである状況では、「夫婦二人三脚」が必要です。

私は綾さんに、「支出の記録」を残すために、まずは家計簿の支出項目を書くか、家計簿のアプリを使うか、最悪でもレシートの束を残してくださいとアドバイスしました。峰岸家として「何に、いくら使っているのか」がわかるようになれば、純平さんも現実がわかり、解決の第一歩を踏み出せます。

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綾さんと相談した結果、以前つけていた、手書きの家計簿を再開することになり、その家計簿の数字を純平さんに見せて、あらためて相談に来てもらうことにしました。

赤字の原因は「妻の怠慢」ではなかったが……

1カ月ほどたった頃、綾さんが純平さんと一緒に相談にいらっしゃいました。

「家計簿をつけて、具体的な数字をみせて説明すると、わかりやすいんですね。夫も赤字の原因は私のムダ使いだけではないことをわかってくれました。でも、家計簿をつけても、どうすれば赤字が減るのかわかりません。いったい何から始めればいいんでしょうか?」

家計簿を拝見すると、買ったもの、買ったお店、金額が、日付ごとに詳細に書かれていました。それをみると、夫婦それぞれの支出の「癖」がわかってきました。