強いコンテンツであることが大前提

【浅野】とてもわかりやすい実例ですね。僕の会社や、木下さんの仕事でUGCを発生させる仕掛けを考えるとしたら、どんな方法が考えられるかなあ。まずは、自社の商品をアップしてくれている人を見つけたら、積極的にリツイートしていく感じですよね

【飯髙】ハッシュタグをつけるのもいいと思うよ。たとえばシャトレーゼでは、誕生日のケーキをアップしてくれている人の写真をリツイートするときに「#ハッピーバースデーシャトレーゼ」とつけてリツイートしたんだよね。これを見たユーザーは、誕生日ケーキを投稿するときは、「#ハッピーバースデーシャトレーゼ」とつければいいのかと考えてくれる。そうすると、自然と社名と商品の写真が広まっていくよ

【浅野】僕たちも、そういうハッシュタグ、考えてみます

【飯髙】ただ、2人に知っておいてほしいのは、UGCを発生させるのは、小手先のテクニックではないということなんだよね

【浅野】というと……?

【飯髙】UGCが発生するような、いいコンテンツを作るということは、それはそのまま、いい商品やいいサービスを提供するということなんだ

【木下】身の引き締まる思いです。SNSの運用だけうまくなっても、結局商品やサービスがよくないと、意味がないということですよね

【浅野】うちの家具は、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたいと思える商品ばかりなので、僕は、今から燃えてます!

【飯髙】それは素晴らしい! 自信を持って勧められる商品やサービスがあってこそ、UGCを活用したSNSマーケティングが生きるからね

「アレルギーフリーのケーキを見つけた!」

シャトレーゼにまつわるUGCの中でも、とくに印象的だったのは、クリスマスシーズンの「アレルギーフリーのケーキを見つけた!」というツイートでした。

シャトレーゼでは、アレルギーのあるお子さんにもケーキを食べてもらいたいと、牛乳、卵、小麦粉を使用していないケーキの開発に注力しています。そして、クリスマスシーズンを前にして、その開発秘話をまとめた記事をツイッターで紹介していました。

飯髙悠太『僕らはSNSでモノを買う』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

工場での製造過程のこだわりなどを記事化していたのですが、あるユーザーがその投稿を見つけて、ツイッターでつぶやいてくれました。

この方のフォロワーは100人くらいだったのですが、このツイートは、あっという間に2000リツイートを超えました。その方の周りには、同じようにアレルギーの子どもを持つ人が多かったのかもしれません。子どものころにアレルギーでクリスマスケーキを食べられなかった人にも届いたのかもしれません。その後、公式アカウントでもこのツイートをリツイートしたことで、このUGCはさらに大きな広がりを持ちました。

このUGCをきっかけに、それまでお子さんのアレルギーに悩んでいた親御さんや、小児科のお医者様などから、熱のこもったメッセージをたくさんいただきました。

僕は、ここに、SNSマーケティングの本質があるように思います。

結局のところ、SNSマーケティングで売上をアップさせる一番のポイントは、アレルギーフリーのケーキのように、顧客にとってよい商品やサービスを磨き上げることなのかもしれません。

ULSSASの起点となるUGCの発生は、顧客に「これはいい!」「これを誰かに伝えたい!」と思ってもらうことが、スタート地点だからです。

まとめ
・ULSSASを回すためには、UGCを発生させる仕掛けが必要。
・ユーザー参加型のコンテンツはUGCを生みやすい。
・発生したUGCはリツイートして、さらなるUGCにつなげる。
・UGCで口コミのアテンションが広がれば、フォロワー数が多い企業アカウントよりも売上貢献が期待できる。
・結局、UGCを起点としたSNSマーケティングは、商品やサービスが肝。
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