上半身を整えるために「太もも」をほぐす
“上半身”というオーダーに対して横手さんが始めたのは、意外にも“太もも”を極限までほぐすトレーニングだった。一体なぜ太ももなのか。
骨格模型を使った解説が始まった。
【横手】「(筋膜の流れの1つは)頭の側面から足までつながっているので、上半身を整えるためには、まず下半身の太ももを緩めてからアプローチする方が、より美しいボディラインが出てきます」
目的の部位を美しく整えるための近道は、身体全体の筋肉や腱、筋膜のつながり方を熟知した上で、そこと関係し合う部位に刺激を与え、癒着したり硬くなったりした組織を緩めて、正常な状態に戻すことだ。そうすれば、おのずと目的の部位も整うという。
太ももをほぐすことだけにたっぷり15分ほど。その成果に、鏡を見た松島さんは驚きの声をあげた。
【松島】「2cm首が長くなった!」
「肩の筋肉がモリッとしたら訴える」
ハードなトレーニングではなく、軽い負荷によって肉体を本来の姿に戻すことで、誰だってきれいになれる。横手さんがこの“ボディメイクの極意”にたどりついたのは、昔、ある女優に釘を刺されたことがきっかけだった。
「(トレーニングで)肩の筋肉がモリッとしたら訴えるー」
冗談交じりの言葉だったが、ハッとさせられたという。それまで、“ハードなウエイトトレーニングが身体を作る”というイメージを持っていたが、それだと女性らしさは失われ、マッチョな身体になってしまう。
横手は根本から考え方を見直し、ゴムのトレーニングチューブやポールなどを使い、負荷がかかりすぎないプランを練った。
肉体は大小無数の筋肉に支えられているが、疲労や加齢などで小さな筋肉の働きが鈍ると、姿勢はゆがんでいく。
そうした小さな筋肉に的確なアプローチで刺激を与えて本来の機能を取り戻させ、美脚・ヒップアップから表情筋にいたるまでラインを変えていく。この独自のトレーニング法が評判を呼び、今では女性誌などからの取材も絶えない。
【横手】「腹筋割りたいなら他のところにスペシャリストがいるし、減量を何十キロもしたいならあちらのジムへ行ったらどうですかと僕はハッキリ言います」