「自転車に乗る場合、運転免許が不要なため、違反点数制度や反則金制度がない。よって、自転車の交通違反を罰する際は、1万円以上の罰金刑(赤キップ)を科さざるをえない」(同)
対して、クルマの反則金(青キップ)や放置違反金なら、数千円程度で済む場合も多い。事故時の危険性や違法駐車の迷惑度は、クルマのほうが断然高いにもかかわらず、だ。
よって、自転車の交通違反を警察が積極的に検挙し、裁判所が罰金を科せば、批判が巻き起こるのは目に見えている。よって、よほど悪質でない限り、自転車の交通違反には目をつぶっているのが現状だろう。
都市部ではエコブームが追い風となり、高性能の自転車で通勤する会社員が増えた。それは結構だが、スピードを出しすぎ、周囲の確認もおろそかにした危険な暴走行為が後を絶たない。
クルマの人身事故は減る一方で、自転車が絡む事故は右肩上がり。歩行者と衝突して死亡や重度障害を被らせた例すらある。それでも、刑事罰の重さゆえ、かえって自転車の「無法状態」が野放しとなっている矛盾。地域によっては、罰金の赤キップを切る前に、警告を意味するカードを手渡す警察官もいるが、まだ中途半端だ。
「現在、反則行為から除外されている自転車をこれに含め、かつ反則金の下限を自転車による反則行為に対応できる額まで引き下げるとともに、自転車の運転者に免許証に近い『登録証』を発行し本人の特定と反則行為の累計で反則金を納付させるようにすべきだ。交通ルールの啓蒙教育も必要」(同)
今後、自転車の交通違反に目を光らせる民間監視員が導入される可能性もあるが、なにより、自転車に乗る各自の気遣いが最も重要だろう。