イギリスは前政権をスケープゴートに

民主党政権は絶好のチャンスを逃した

【大前】新しく首相に就任したイギリスのデイヴィッド・キャメロンには感銘しました。何しろデビュー早々、いきなり血の出るような歳出削減を実行したからです。日本政府には到底真似できない。

【アタリ】キャメロンは前政権をうまくスケープゴートにし、歳出削減をやってのけたのです。日本も同じ手を使えばいい。

【大前】キャメロン首相とニック・クレッグ副首相がやったのは、すべての失策の責任を労働党になすりつけることでした。アタリさんが掲げた過剰な国家債務を削減するための八カ条に、これを追加してもいいんじゃないでしょうか（笑）。

ご存じのように、日本では一昨年の8月の総選挙で民主党が勝利して細川内閣を除いては約60年ぶりの政権交代が実現しました。しかし、民主党政権は最初の1年を無駄に過ごし、絶好のチャンスを逃してしまった。二度の弛みきった予算を通してしまったので今や前政権に責任転嫁はできません。チャンスは二度とやってこないでしょう。

【アタリ】日本の債務問題は世界経済にとっても重要な問題です。大前さんがこの問題について前向きに取り組むよう、日本政府や国民に働きかけてくださることを期待しています。

【大前】それではアタリさんにはバブル経済の処理を誤らぬよう、中国の説得をお願いします（笑）。