5.理解して覚えて終わりではなく行動につなげる
企てではなく試みが重要である。ぐるぐる考え続ける行為(プロセス)だけで満足していては意味がないので、必ず実践という課題解決行為を試みる。
6.起承転結ではなく、論理的に書き表す文章力
文章を書き、意見を構造化して相手に伝える文章力をつける。
読解力の低さの背景には「現代国語」がある
試験の点数を取るために、筆者は何を考えているのかを当てる「読解力」と称する国語教育では、それを知るためには、キーワードを追えば良く、文章の論理構造を読み取る必要はないので、日本人が論理的思考(階層的構造化)に弱いのはうなずけると思います。
ベストセラーとなった『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を著した国立情報学研究所教授・新井紀子氏が指摘する子どもたちの読解力の低さは、皮肉にも、「現代国語」でいう読解力の教育の結果であると言えます。
論理構造を読み取る力をつけたければ、小論文など文章を書くことを心掛ける必要があります。欧米に比べると、日本の教育では、文章力のトレーニングが著しく欠けています。筆者は、学生には、パワーポイントで資料を作る前に、必ずワードで論理構成を考えるように指導しています。これらに加えて、以下の能力をつけることにも注力してほしいと思います。
文系であっても、数学の基礎は不可欠
7.数理的な推論とモデリングが理解できること
今後の社会のリテラシーとして、コンピュータ・プログラミング、アルゴリズム、コンピュータ・サイエンス、統計学、微分積分の基礎は必須である。これは、文系でも必要。遅まきながら、経団連が、文系の大学生にも数学の基礎は必須と言い出している。
8.共有語としての英語の能力を上げること
日本語とは異なる思考を獲得し、その結果、日本的な思考を相対化する。
明治大学国際日本学部教授・トゥールーズ第1大学客員教授
1957年生まれ。東京大学卒、シカゴ大学国際政治経済学・経営学修士。McKinsey&Co.、Volkswagen本社、Cargill本社、同オランダ、同イギリス法人勤務を経てNTTデータ研究所へ。同社パートナーを経て2009年4月より現職。主著に『CNC ネットワーク革命』『日本的改革の探求』『日本型イノベーションのすすめ』『なんとなく日本人』『2050 老人大国の現実』など。