コンプレックスのある部分に「落書き」

画像加工アプリはインスタをそのまま使っている子もいるが、フィルターが豊富でセルフィーに特化した「B612」やネズミの鼻や耳をつけるといったかわいい加工ができる「SNOW」、食べ物用のフィルターが充実している「Foodie」、ビューティ&メイク機能が充実した「カメラ360」、プリクラ技術を生かした自然に盛れる「moru」などを場面や撮るものによって使い分けている子も多い。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/stockcam)

自撮りアプリ「Ulike」では、インスタなどで人気のポーズが白い線で表示されるため、それをまねしてポーズをとればインスタ風写真が簡単に撮れる。このように「インスタっぽくしたい」ニーズをかなえてくれるアプリも人気だ。

顔に落書きをしているセルフィーを見たことがある人もいるのではないか。片目をぬりつぶしている子がいたので聞いたところ、「目の大きさが違うから」ということだった。このように、コンプレックスのある部分に落書きする例は多いようだ。

「令和」の札を持った「#ネタプリ」

それ以外の場合は友達と複数人で撮り、記念写真にしたり、親しいことを確認し合ったり、周囲にアピールする意図で使われる。友達と盛り上がれる「#ネタプリ」も人気だ。こちらはネタを仕込んで笑える写真に仕上げることがポイントで、たとえば「令和」「平成」の札を持って写ったり、かぶりものをかぶって撮ったりなど、いろいろな写真が投稿されている。

それぞれが示すものは、「かわいいと思われたい」「友達と親しくなりたい、親しさをアピールしたい」「楽しい今日を記念に残したい」ということ。つまり、セルフィーは自己表現であり、他人とのコミュニケーション手段と言えるのだ。インスタなどには彼女たちの願いや思いがつまった写真が多数投稿されているので、のぞいてみてはいかがだろうか。

高橋 暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト
情報リテラシーアドバイザー、元小学校教員。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、コンサルタント、講演などを手がける。著書に『ソーシャルメディア中毒』『できるゼロからはじめるLINE超入門』ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。
(写真=iStock.com)
関連記事
出張前の"空港なう"写真が嫌われる理由
「いいね、でもね」な人間とは付き合うな
"賢い女性"を持て余す、日韓社会の共通点
「自称声優」が量産される声優業界の混迷
東野圭吾のヒロイズムに共感できない理由