ですが、このアップグレードプログラムには「機種変更すると、端末が回収されてしまう」というデメリットがあるうえに、機種変更を行わないとこの施策のメリットを受けることはできません。2年後に再び機種変更を行う必要があるわけですが、機種変更では大きな割引施策は付きづらいため、基本的に定価で機種変更をする必要があります。その点については一切触れておらず、説明不足な印象を受けました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

また、端末代金のもう半分は“端末購入サポート”という割引であることに留意する必要もあります。この割引によって端末代金は半分になるものの、この割引には13カ月以内の解約には違約金がかかります。ですが、その説明もありませんでした。

確かに無料には間違いありませんが、それは指定された方法に従う場合。

事実上今後の運用に制約を受ける契約方法を十分な説明なく促すのは、あまり誠実とはいえません。

そして特筆すべきは、店員さんが“キャンペーン”だと言ったこれらの施策はすべてau公式の施策です。つまり、ノジマ側の割引は一切入っておらず、どのショップでも同様の契約が可能。ノジマでは事実上の手数料である頭金もしくは独自オプションへの加入を設定しており、手数料と頭金のかからないauオンラインショップよりも高くなります。ハガキを見てお得を期待すると、痛い目に遭いそうです。

実は、このとき私が持っていたハガキは期限切れのものだったのですが、案内を断られるどころか、ハガキの期限を確認されることすらありませんでした。つまり、このハガキは来店を促すための単なる撒き餌で、実際は誰でも同条件で契約が可能ということです。

後日、編集部からノジマへ販売方法の指導内容についての質問状を送付しましたが、「本来提示する施策は別のものであったが、案内したスタッフのヒアリングが不足しており、本来のご案内ができずにご迷惑をおかけした」旨と、そのとき案内した店舗スタッフ1人の責任だという回答でした。

ノジマは東証一部上場の企業ですが、今回のハガキで行える買い物は、決してお得なものではありませんでした。企業の大きさやネームバリューに惑わされず、冷静に考える癖をつけたほうがよいでしょう。

三上 洋
ITジャーナリスト
ITセキュリティやスマートフォン業界に精通するITジャーナリスト。守備範囲はウイルスからネット炎上まで多岐にわたる。
 
(写真=iStock.com)
関連記事
富裕層は「スマホ」と「コーヒー」に目もくれない
格安スマホ乗り換えの意外すぎる落とし穴
ソフトバンクに取り憑いた"白い犬の妄想"
"ビットコイン数万円"で始まった借金生活
ほぼ0円で週末を楽しく過ごす4つの鉄則